SENDA MEDICAL CLINIC BLOG

ccrnet.exblog.jp ブログトップ | ログイン

意外と大きいストレスの力

まだまだ消えない震災の爪痕

5月も下旬に入り、避難所からお見えになる方もほとんどいなくなり、引っ越しもピークを過ぎたようです。
病状が急変される方もほとんどいなくなり、クリニックでの診療も通常の状態に戻りました。

まるで挨拶のように交わされていた
〝震災の時はどうでしたか?〟という言葉も少なくなりました。

そこに一人の80代後半の女性が基幹病院から退院してこられました。
ちょうど連休明けに心不全が悪化し、緊急入院していただいた方です。
幸いあまり重度ではなく、精神的な不安感はありますが循環器はすっかり落ち着いています。
この方の場合は、内服はきちんとできており環境の変化によるストレスも一因だったようです。

昨日5月19日付けのくまにちコムに興味深い記事がでています。
地震後2週間で心不全11倍 熊本医療センターと題された、この記事は文字通り震災の怖さを物語っています。
b0102247_22380017.jpg
地震の被害や相次ぐ余震に伴うストレス、睡眠不足などが原因で、今後も患者は増加するとみられる。専門医は「塩分摂取を控え、薬をきちんと飲んでほしい」と呼び掛けている。
 同センターによると、地震前2週間の心不全患者は2人だったが、地震後2週間は22人で11倍に急増。地震後4週間では35人に上り、昨年同期と比べても3・2倍だった。
やっぱり、ストレスの怖さを侮ってはいけません。
私の周辺では、多くの方がショックから立ち直り、一見震災前の状態に戻っています。
でも、それは上辺だけのものかもしれません。
人間は意外と脆いのです。

立ち直り、歩み始めることは大切です。
でも、まだ油断してはいけません。
私たちは考えるほど強くはないのです。




# by ccr-net | 2016-05-20 22:46 | 熊本地震

生きる力と尽くす力

生きる力が沸いてくる

今日の熊本は快晴
空を見るとまるで何もなかったかのような抜けるような青空
地震なんてまるでなかったかのようです。

クリニックに震災前から交通事故で通院されている女性がいます。
〝具合はいかがですか?〟
〝仕事が忙しくて調子が悪いのですが、でもそんなことは言っていられません〟
〝不動産関連でしたよね?〟
〝賃貸物件を多く扱っているのですが、損壊が酷くて、特に益城は大変です。
不思議なことに物件ではなく大家さんのお家が損壊したところが多いのです。
本当に酷い状態です。
それが心配であちこち回っていて、自分どころではないのです〟

彼女を動かしているものはなんでしょう?
それは仕事に対する責任感?
会社への献身?
いや、純粋な無私の心ではないでしょうか。

危機に陥ったり
非常時になると
人は思わぬ行動を起こします。

もちろん、悪いことをする方もいるでしょうが、多くは他に思いをはせます。
その中に無私の心や人への思いやり、献身があるように思えます。
自分を犠牲にしても他人のためにつくそうとするのです。

人って凄いですね。

私自身はそんなに無心ではなく、少し邪悪かもしれません。

でも、
人のために何かするということが
今の私の〝生きる力〟なのです。

被災してみて多くのことを学びました。
失ったものは大きかったですが、得たものも少なくありません。

蒼天の空
心も空高く舞い上がるかなあ・・・




# by ccr-net | 2016-05-17 22:37 | 熊本地震

退く勇気、捨てる勇気

生きていてこそ意味がある

震災から1ヶ月経ちました。
熊本の街も大分落ち着いてきました。
クリニックを訪れる方々もほとんどが自宅または新居での生活となり、避難所生活の方は少数です。

そんな中、東京から娘が帰ってきました。
震災以来、初めての帰宅です。
直後から福岡の息子も、東京の娘も心配しすぐに電話をくれました。
なかでも娘は心配し、直ぐに他県に避難するように言いました。

でも、私は避難しませんでした。
だって、医師だから、
守るべき人たちがいるから・・・


でも、これって1人よがりではなかったでしょうか。
娘と話していて、いかに子供達が私達を心配していたか判りました。

「だって、死んでしまったら何もできないんだよ」

私は外科医です。
手術をおこなうときに大切な事は、時として退くことです。
進むばかりが能ではありません。
退く勇気が大切なのです。


守るべきもの
それは人によって違います。

それは
家族だったり
仕事であったり
信条であったり、さまざまでしょう。

でも、何を守るとしても
何かを捨てなければいけないことがあります。
守るためには、時として捨てる勇気も必要なのです。


今回、私がしたこと
スタッフを守り
地域の人を守り(ほんの一部分)
クリニックを守りました

今回、私が気にしなかったこと
自分の命
スタッフの気持ち
妻を含めた家族の気持ち・・・
そう、独りよがりだったのです。

何が正しかったのか?
それは今になっても判りません。

でも、
退く勇気
捨てる勇気
そして他者への思いやりが私にはなかったような気がします。


震災から少し落ち着いた今
こんなことを考えてみました。



# by ccr-net | 2016-05-14 21:17 | 熊本地震

フットケアでボランティア

プロフェッショナル・ボランティアの実力を知ろう

ゴールデンウイーク最後の日曜日、
四国や関西・福岡からフットケアの仲間が震災見舞いを兼ねてボランティアにやってきました。
総勢6名、有り難いことです。
このメンバーに地元の4名を加え、今日はクリニックで午後1時から無償での足検診と爪・角質ケアをおこないました。
急な話でしたので広報ができずおみえになった方は十数名でしたが、とても充実した数時間でした。

明日は、南区城南の火の君文化センターで午前9時〜午後1時まで活動予定です。
残念ながら私は診療のため参加出来ませんが、今回のフットケア・スペシャリストのレベルは一流です。
出会える方々は、本当にラッキーだと思います。

フットケアというのは文字通り足のケアをおこなうことです。
よく足つぼマッサージと混同されますが、全く別のもので、元来足を救うことを目的としています。
実際には、足の血行再建や最近有名になったエコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)、
足の角質ケアや爪のカット・矯正(巻き爪矯正)など多岐にわたります。
従って、フットケアに従事する方は、私のような医師や看護師・理学療法士から民間のフットケアスペシャリスト、
あるいはシューショップ(靴屋)のシューフィッター、義肢装具士など多くの職種が関わっています。

b0102247_22370553.jpg

今回の中心はその中のフットケアスペシャリスト、民間資格ですがその技術は私などは足下にも及びません
だからこそ、お互いを尊敬し合い、連携し、足を支えていくのです。

震災も急性期は落ち着き、次のステージにはいっています。
こうしたときに大切なことの一つが、足のケア=フットケアなのです。

多くのボランティアが震災の各地に入っています。
ただ私が知る限りでは、まとまった数のレベルの高いフットケアスペシャリストが入るのは、今回が初めてだと思います。

フットケアスペシャリスト、あなたも体験してみませんか?





# by ccr-net | 2016-05-08 22:38 | 熊本地震

みんなで手を繋ごう・・・頑張ってばかりではいられない

〝頑張れ〟という言葉の重み

ゴールデンウィークも本日で最後、皆様いかがお過ごしでしょうか?
熊本市内は避難所も縮小され、小中学校は来週の授業再開に向けて避難所はほぼ体育館のみとなりました。
避難されている方の人数もピーク時の1/5〜1/7に減りました。
しかも、昼間は更にその1/5に・・・
まだ余震は多いものの、震災は確実に次のステップに移ってきました。

勿論、クリニックの周囲には赤紙(危険)の建物も数多くありますし、スタッフもまだ3名は居住する家が定まっていません。
ただ、医療の視点でみると、二次災害の予防がこれからますます大切になってきました。
医療機関で診る患者さんは別にして、整理された避難所で生活する方々のケアをどういう形でとっていくかが、問題です。

さて、どうしましょう?
今後の避けては通れない課題です。

もう一つ、問題があります。
震災後、私たちはみなそれぞれ、頑張ってきました。
それは、避難所にいる方も、私たち医療者も一緒です。
頑張って、頑張って、3週間が経過しました。

でも、なんだか疲れてきませんか?

ここらでちょっと一息ついて、ノンビリしたいなあと想うのは私だけでしょうか・・・
頑張ることに、ちょっと疲れてきたのです。

そんなに頑張らなくてもいいじゃない
走ってばかりではもちません。

頑張れる人
頑張れない人
元気な人
疲れてきた人・・・

みんなで支え合い、手を繋ぐことが大切です。

b0102247_21255302.jpg

週末には、四国や関西・福岡から多くの仲間がフットケア・ボランティアにやってきます。
そのためのイベントもあるのですが、
私が一番楽しみにしてるのは、彼らから元気をもらうこと!

お土産いらないから、元気をいっぱい持ってきてね!!





# by ccr-net | 2016-05-05 21:28 | 熊本地震

被災したって医療はできる 2週間の総括

震災後2週間の総括と反省点

震災後2週間が経過し、市内では街も徐々に落ち着いてきました。
勿論、避難所生活をされている方はまだおられますが1/3程度となり、
各小中学校の運動場も駐車している車は10台程度となりました。
水が戻り、ガスが戻り、外食も少しずつできるようになってきました。
でも、一つ角を曲がると、幾つもの家屋に立ち入り禁止の赤紙が貼られ、道は波打っています。
震災の爪痕はまだまだしっかりと残っているのです。

今回の震災後の私の行動で幾つもの反省点があります。

最初の地震(前震)の翌日、クリニックを開けたのは正しかったのか?
当初はこれが本震といわれておりこの時点で建物はほとんど被害がなく、一部機材の損傷があった程度でした。
ライフラインも生きており(ガスは止まっていた)、震災の患者を受け入れる目的で開院したのは間違っていないと思います。
ただ、火災訓練は年に2回おこなっていても、地震訓練は一度もおこなっておらず、患者さんの安全が担保されていたかというと疑問です。
自動ドアだけは電源を切り開けていましたが、避難の打ち合わせはおこなっていませんでした。
ただ、昼前から急激に水道の出が悪くなり、トイレ使用に問題が出そうでしたので、午後からのリハビリテーションを取りやめ患者制限をおこなったのは正しい判断だったと思います。

2度目の地震(本震)当日の私の行動。
深夜1時半に本震がおこり、熟睡していた私は妻にたたき起こされました。
本当に強い地震で初めての経験です、1回目とは比較になりませんでした。
直後から停電となり余震も何度もありましたが1時間ほどで落ち着きましたので、
クリニックへ様子を見に行きました。
この時のことは、被災したって医療はできる 2に書いています。
クリニックが診療できる状態か否か確認しに行ったのですが、あとで考えれば本震直後のこの時期に無謀な行動でした。
妻も大変心細かったようです。
結果的に、創傷や骨折のケアだけでクリニックを開けたのですが、駆けつけた3名の理学療法士のリスクを考えると、医師としては正しくとも、管理者としては間違った行動だったと思います。

選択肢は二つ

医師として手の足りない済生会熊本病院や熊本医療センターへ行く
自宅で家族と共に安全の確保を図る

取るべき道は後者、自分と家族の安全を図ることが最優先だったと思います。

その後の、チーム編成は正しかったか?
震災3日目、被災したって医療はできる 3に書いたように医療班や物資調達班など幾つかのチームを作りました。
効率的な動きとスタッフの最低限の生活を支え、今できる医療を地域に提供することが目的でした。
結果的には正しい行動だったと思いますが、 課題も見えてきました。
地域支援活動を、当初、要請のあった益城でおこない、肝心の周辺地区の支援活動が遅れたことです。

なぜそうなったのでしょう?

災害時の支援活動のシミュレーションや避難マニュアル・行動マニュアルが皆無だったからです。
これは震災後1週間のミーティングでスタッフから指摘されました。
いかに私たちが災害時の対応を考えていなかったか、危機感がなかったかを実感しました。

避難所の支援活動や診療体制は万全だったか?
これは考えるまでもなく、お粗末なものでした。
医療法人全体で60名以上いるスタッフの有効活用が出来たとはとてもいえません。
結果的に計画性がなく、行き当たりばったりのものだったのではないかと、自戒しています。

物資は十分だったか?
これは言うまでもありません。
準備は皆無でした。
たまたまデイケアをしているので、飲料用のミネラルウオーターが200本以上ありました。
でもそれだけです。
生活排水に対応できず、慌てて遠方へ買い出しに行ったり、他県の友人や親族に分けてもらいました。
ライフライン中でも、水の大切さ貴重さを実感した2週間でした。

クリニックを開ける時期は適切だったか?
これは適切だと思っています。

まず水が確保できること、
患者用トイレがきちんと使用できること、
これができないと医療機関としては質の担保ができません。
最悪の場合、ノロウイルスなどの感染症を引き起こします。
二次災害としての感染症に徹底的に拘り、来週からの本格稼働としました。
具体的には4月27日夜水道水の水量が上がりトイレ使用可、28日丸1日観察し断水や水量の低下がないのを確認、
29日患者トイレの使用開始(130名の来院で問題なし)、
これでようやく、リハビリテーションを開始できると判断しました。
もしかしたら、一昨日から稼働可能だったかもしれません。

でも、この時期大切なのは二次災害の予防
医療では感染症と静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)の予防と、低栄養の改善です。

こうしたことは今までの2回の震災で学ぼうと思えば学ぶことができたことです。
でも、『自分たちは大丈夫!』という、間違った思い込みがありました。
震災は、いつでもどこでも起こるのです。

行政の対応やシステムの不備なども問題があるでしょう。
でも、一番問題だったのは自分たち自身の意識の欠如です。

震災が落ち着いてきた今こそ、こうしたことを考える時期にあります。
本日、大牟田の親戚に預かって頂いていた義父を迎えに行きながら、こんなことを考えました。



# by ccr-net | 2016-04-30 17:43 | 熊本地震

皆が被災者

住むところがない

本震から10日、前震から12日が経ちました。
本日からクリニックは午前9時〜午後5時まで開けることになりました。
昨日より1時間の進歩です。
けれども、まだ十分な水圧の水が出ないので患者用トイレの使用ができません。
従って、相変わらずの限定診療で、リハビリテーションなどの時間のかかる医療をおこなうことはできません。
毎日多くのお電話を頂きますが、残念ながら見通しは依然として立っていません。

『今、お家ですか、避難所ですか?』
『水は出ますか?』

震災以来、患者さんとかわす最初の言葉です。

まず、お互いの安否を確かめ合い、
『お互い頑張りましょうね!』
と言葉を交わす、医療者と患者で立場が違っても、お互い被災者なのです。

水が出ない、ガスがこない、道が混む・・・
そうしたことが普通になっているので、朝起きて水の出がよいと何だかとっても嬉しくなってしまいます。
ただ、私自身は住むところがありますが、法人内のスタッフで3名がありません。
住むところがないのです。
そのうち1名は実家が遠く、友人の家などから出勤してきています。
彼は不運なことに、アパートの部屋に給水タンクが落ちてきたのです。
全く住むことが出来なくなったのですが、不動産屋を探しても物件は皆無です。
そんな中、彼は毎日笑顔で出勤しケアマネージャーとしての仕事を黙々としています。

凄いね・・・本当にそう思います。

私たちは、程度は違うけれど皆が被災者
だから、頑張ろうね!




# by ccr-net | 2016-04-26 22:01 | 熊本地震

震災後の対応は現場情報の一元化とサプライチェーン

そろそろ疲れてきたかも

昨日は午後3時から訪問看護師2名と、避難所3カ所を回りました。
前日と打って変わって良い天気です。
最初の避難所は前日高齢者を1/3しか診ることができなかったところです。
まずは陣頭指揮を執られる校長先生にお薬を届け(足関節炎と静脈鬱滞性皮膚炎)しました。
勿論、巡回診療ですのでお金は発生しません。
校長先生から思わぬニュースがありました。
午前中にDMATが入り6名ほどの医師ですべて回診されたとのこと、
早い対応にほっとしました。

実際に、巡回してみて驚いたのは、避難者の数が半数以下になっていること、
比較的お元気な方は勿論ですが、ようやく動けていた方や熱発していた方もいらっしゃいません。
お天気がよいので、環境の良い自宅に一時帰宅されているようです。
夕方6時くらいにはまたほとんどの方が戻ってくるとのこと。

これが家屋損壊の酷い益城や阿蘇と、損壊はあまりないが屋内が散乱していたり不安が強い市の中心部との違いです。
怖いので避難されている方やライフライン(特に水道)がなくて避難されている方が多いのです。

その後、2校を回りましたが、同様の状況でした。
ここもはっきりはしないのですがDMATが入ったようですので、一安心。
巡回回診の初期の目的は、DMATのおかげでほぼ果たしたようです。

クリニックに帰り、訪問看護から要請のあった在宅の方の外傷処理に出かけました。
対象は50代の男性でパーキンソン病、在宅独居でもともと転倒の多い方ですが、今回震災で散乱した荷物に躓いたとのこと。
大きな家に一人で住んでおられ、丁度飲み物をこぼされ着替えをしようとされていました。
この方は私の患者さんではなく、大きな病院から訪問リハビリテーションの依頼を受けています。
予想していたよりずっとADLが悪く、お一人では大変だなあと思いました。
創傷そのものは挫滅創で、ハイドロサイトとフィルム処置をおこないました。
比較的頻回に転倒されるので、スポーツ用のニープロテクターを着用されるよう指導しました。

在宅の現場は、震災前と大きな変化はありません。
ただ十分なサポートが入っていないところは、生活用水や飲料水の問題があり、明らかに劣化しています。
難しいですね。

帰りに、多くのゴミ集積所でゴミが満杯になりそろそろ悪臭を発し始めているのに気づきました。
震災ゴミでなく生活ゴミなのに、ゴミ収集車が動いていないようです。
クリニックは契約している業者ですので、普通に動いています。
市で動けない理由があるのでしょうか・・・

避難所は皆さんよく頑張っていらっしゃると思います。
けれども共通していえるのは、情報の1元化ができていません。
先ほどのDMATについても、何名でどこのDMATが来たのか、結果はどうだったのかということが判りませんでした。
これは、支援物資のサプライチェーンが上手く機能していないのと同じです。
この部分に関しては、今後の大きな課題であり、プロフェッショナルな対応が望まれます。

自宅に帰り、昼食を摂ると、一度に疲れが襲ってきてそのまま3時間ほど眠ってしまいました。
震災から1週間が過ぎ、避難所も落ち着きつつあります。
逆に張り詰めていたものが少し緩み、疲れもでてきました。

さて、明日日曜日、どうしましょう?



# by ccr-net | 2016-04-23 23:11 | 熊本地震

百聞は一見にしかず

避難所の現実は大変

本日熊本は朝から雨、途中から本降りになりました。
昨日、避難所に指定されている小学校の校長先生からご要望があり、
午前10時半から避難されている高齢の方のラウンド(巡回回診)をおこないました。

午後1時くらいまで宜しければ診て頂きたいという申し出に、
『そんなにはかからんもんね!』と高をくくっていました。

この避難所は総勢700名、高齢者が150名くらいということです。
巡回回診ですので、実際にはそんなに診る方はいないだろうと思っていました。
ここには3日前から当院のPT・OTが主に下肢の血栓予防での運動やマッサージにはいっています。
事前情報からは医療必要度は十数名ではないかという話でした。

ところが、行ってみると大違い。

150名をすべて回るどころか、実際に回れたのは50名くらい、そのうち医療介入が必要な方は10名程度です。
エコノミークラス症候群のチェックを主な目的としていたので、全員下腿〜足を診ます。
勿論基礎疾患の有無もお聞きするのですが、大変でした。
時間がかかった原因の一つは急な話でしたので、看護師が同伴できなかったことです。
けれども、帯同してくれた女性作業療法士(ここに3日間介入している)の働きは素晴らしいものがあります。

結果、救急搬送が1名、下肢静脈血栓及び疑い2名、低血糖2名、低栄養2名、感染症(感冒・膀胱炎など)2名、創傷処置数名でした。勿論、腰が痛い・膝が痛い・足がしびれる・倦怠感がある・血圧が高い等の方は沢山います。
この施設は3階の教室まで避難所となっており、構造が複雑で迷路のようです。
実際、救急搬送となった方の場合、その方のおられる場所に担当保健師が救急隊を案内できない状態でした。

午後から、別の小学校と中学校も回りました。
午後は2名の訪問看護師が帯同しました。
救急搬送こそ有りませんでしたが、似たような状況です。
結局、全体のラウンドを目的としながら、全く目標が達成されていません。
にも関わらず、疲労は増していき、午後5時に帰院したときにはぐったりでした。

震災後1週間経ちました。
この時期に、全体を一度診ておくことは大切なことです。
避難されている方々の疲労も大きくなっています。

それでも、皆さん文句も言わず、静かに横になったり、座ったり、談笑されていました。
でも、必ずしも健康とは限りません。

百聞は一見にしかず
勿論一見では判りませんが・・・





# by ccr-net | 2016-04-21 21:36 | 医療

被災したって医療はできる 5

仕事するって楽しい、非日常から日常の勧め

本日からクリニックでの診療を再開しました。
午前10時〜午後5時の限定ですが、取りあえず現状での当院の実力です。
しかも本日はたまたま水曜日で、もともと13時までしかみていません。
ということで午前10時〜午後1時までの3時間
怒濤の時間でした。
現在のスタッフの体力的な限界で看護師は4名いて比較的余裕があるのですが、クラークはわずか一度に2名で大変です。
頻繁に鳴る電話対応は途中から看護師に任せ、ロビーの交通整理は2名の理学療法士がおこないました。
非日常から日常への変化、避難生活を送っているスタッフも生き生きとしています。

いつもとは異なり、本当に簡単な診療に終始しましたが、その中で大変難渋した方がおられます。
七十代後半の女性、震災当日に受傷(受傷機転不明)、左下肢全体の皮下出血と下腿の腫大があります。
この方は以前から高血圧と狭心症、陳旧性の静脈血栓があります。
震災で住んでいたアパートが破壊され、当日から避難所暮らし、心的外傷後ストレス障害があり言動に落ち着きがありません
クリニックまでどうやって来たのかさえ覚えていません。
下腿は両側打撲ですが、特に左側が強く新鮮血栓と思われるものはありません。
行動範囲は非常に狭くほとんど臥床しておられます。

ここまでは、簡単でした。
問題は、これから。

静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)のハイリスク群ですから、入院での加療が必要です。
けれども、どこも空きがありません。
5カ所の医療機関に断られ、ようやく6件目に入院を引き受けて頂きました。
本当に震災時は入院が困難です。

その後、往診へ行き、熊本市立五福小学校へ。
ここは700名の避難者がいて、市内では最大規模の避難所になっています。
ご高齢の方が沢山おられるとの報告を前日からボランティアで入っている当院スタッフ受けていました。
その方々の状態を確認したいと思ったのですが、流石に最大規模の避難所、把握されていません。
ただ、震災以後医師の検診はおこなわれていません。

ということで、明日の午前中急遽ラウンドと検診(栄養検診と血栓症チェック)をおこなうことにしました
ケアマネージャー・医師・看護師・理学療法士のチームで行きたいのですが、
まだスタッフの了承をとっていません。

どうしましょう?




# by ccr-net | 2016-04-20 21:07 | 熊本地震
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30