SENDA MEDICAL CLINIC BLOG

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被災したって医療はできる 2週間の総括

震災後2週間の総括と反省点

震災後2週間が経過し、市内では街も徐々に落ち着いてきました。
勿論、避難所生活をされている方はまだおられますが1/3程度となり、
各小中学校の運動場も駐車している車は10台程度となりました。
水が戻り、ガスが戻り、外食も少しずつできるようになってきました。
でも、一つ角を曲がると、幾つもの家屋に立ち入り禁止の赤紙が貼られ、道は波打っています。
震災の爪痕はまだまだしっかりと残っているのです。

今回の震災後の私の行動で幾つもの反省点があります。

最初の地震(前震)の翌日、クリニックを開けたのは正しかったのか?
当初はこれが本震といわれておりこの時点で建物はほとんど被害がなく、一部機材の損傷があった程度でした。
ライフラインも生きており(ガスは止まっていた)、震災の患者を受け入れる目的で開院したのは間違っていないと思います。
ただ、火災訓練は年に2回おこなっていても、地震訓練は一度もおこなっておらず、患者さんの安全が担保されていたかというと疑問です。
自動ドアだけは電源を切り開けていましたが、避難の打ち合わせはおこなっていませんでした。
ただ、昼前から急激に水道の出が悪くなり、トイレ使用に問題が出そうでしたので、午後からのリハビリテーションを取りやめ患者制限をおこなったのは正しい判断だったと思います。

2度目の地震(本震)当日の私の行動。
深夜1時半に本震がおこり、熟睡していた私は妻にたたき起こされました。
本当に強い地震で初めての経験です、1回目とは比較になりませんでした。
直後から停電となり余震も何度もありましたが1時間ほどで落ち着きましたので、
クリニックへ様子を見に行きました。
この時のことは、被災したって医療はできる 2に書いています。
クリニックが診療できる状態か否か確認しに行ったのですが、あとで考えれば本震直後のこの時期に無謀な行動でした。
妻も大変心細かったようです。
結果的に、創傷や骨折のケアだけでクリニックを開けたのですが、駆けつけた3名の理学療法士のリスクを考えると、医師としては正しくとも、管理者としては間違った行動だったと思います。

選択肢は二つ

医師として手の足りない済生会熊本病院や熊本医療センターへ行く
自宅で家族と共に安全の確保を図る

取るべき道は後者、自分と家族の安全を図ることが最優先だったと思います。

その後の、チーム編成は正しかったか?
震災3日目、被災したって医療はできる 3に書いたように医療班や物資調達班など幾つかのチームを作りました。
効率的な動きとスタッフの最低限の生活を支え、今できる医療を地域に提供することが目的でした。
結果的には正しい行動だったと思いますが、 課題も見えてきました。
地域支援活動を、当初、要請のあった益城でおこない、肝心の周辺地区の支援活動が遅れたことです。

なぜそうなったのでしょう?

災害時の支援活動のシミュレーションや避難マニュアル・行動マニュアルが皆無だったからです。
これは震災後1週間のミーティングでスタッフから指摘されました。
いかに私たちが災害時の対応を考えていなかったか、危機感がなかったかを実感しました。

避難所の支援活動や診療体制は万全だったか?
これは考えるまでもなく、お粗末なものでした。
医療法人全体で60名以上いるスタッフの有効活用が出来たとはとてもいえません。
結果的に計画性がなく、行き当たりばったりのものだったのではないかと、自戒しています。

物資は十分だったか?
これは言うまでもありません。
準備は皆無でした。
たまたまデイケアをしているので、飲料用のミネラルウオーターが200本以上ありました。
でもそれだけです。
生活排水に対応できず、慌てて遠方へ買い出しに行ったり、他県の友人や親族に分けてもらいました。
ライフライン中でも、水の大切さ貴重さを実感した2週間でした。

クリニックを開ける時期は適切だったか?
これは適切だと思っています。

まず水が確保できること、
患者用トイレがきちんと使用できること、
これができないと医療機関としては質の担保ができません。
最悪の場合、ノロウイルスなどの感染症を引き起こします。
二次災害としての感染症に徹底的に拘り、来週からの本格稼働としました。
具体的には4月27日夜水道水の水量が上がりトイレ使用可、28日丸1日観察し断水や水量の低下がないのを確認、
29日患者トイレの使用開始(130名の来院で問題なし)、
これでようやく、リハビリテーションを開始できると判断しました。
もしかしたら、一昨日から稼働可能だったかもしれません。

でも、この時期大切なのは二次災害の予防
医療では感染症と静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)の予防と、低栄養の改善です。

こうしたことは今までの2回の震災で学ぼうと思えば学ぶことができたことです。
でも、『自分たちは大丈夫!』という、間違った思い込みがありました。
震災は、いつでもどこでも起こるのです。

行政の対応やシステムの不備なども問題があるでしょう。
でも、一番問題だったのは自分たち自身の意識の欠如です。

震災が落ち着いてきた今こそ、こうしたことを考える時期にあります。
本日、大牟田の親戚に預かって頂いていた義父を迎えに行きながら、こんなことを考えました。



by ccr-net | 2016-04-30 17:43 | 熊本地震

皆が被災者

住むところがない

本震から10日、前震から12日が経ちました。
本日からクリニックは午前9時〜午後5時まで開けることになりました。
昨日より1時間の進歩です。
けれども、まだ十分な水圧の水が出ないので患者用トイレの使用ができません。
従って、相変わらずの限定診療で、リハビリテーションなどの時間のかかる医療をおこなうことはできません。
毎日多くのお電話を頂きますが、残念ながら見通しは依然として立っていません。

『今、お家ですか、避難所ですか?』
『水は出ますか?』

震災以来、患者さんとかわす最初の言葉です。

まず、お互いの安否を確かめ合い、
『お互い頑張りましょうね!』
と言葉を交わす、医療者と患者で立場が違っても、お互い被災者なのです。

水が出ない、ガスがこない、道が混む・・・
そうしたことが普通になっているので、朝起きて水の出がよいと何だかとっても嬉しくなってしまいます。
ただ、私自身は住むところがありますが、法人内のスタッフで3名がありません。
住むところがないのです。
そのうち1名は実家が遠く、友人の家などから出勤してきています。
彼は不運なことに、アパートの部屋に給水タンクが落ちてきたのです。
全く住むことが出来なくなったのですが、不動産屋を探しても物件は皆無です。
そんな中、彼は毎日笑顔で出勤しケアマネージャーとしての仕事を黙々としています。

凄いね・・・本当にそう思います。

私たちは、程度は違うけれど皆が被災者
だから、頑張ろうね!




by ccr-net | 2016-04-26 22:01 | 熊本地震

震災後の対応は現場情報の一元化とサプライチェーン

そろそろ疲れてきたかも

昨日は午後3時から訪問看護師2名と、避難所3カ所を回りました。
前日と打って変わって良い天気です。
最初の避難所は前日高齢者を1/3しか診ることができなかったところです。
まずは陣頭指揮を執られる校長先生にお薬を届け(足関節炎と静脈鬱滞性皮膚炎)しました。
勿論、巡回診療ですのでお金は発生しません。
校長先生から思わぬニュースがありました。
午前中にDMATが入り6名ほどの医師ですべて回診されたとのこと、
早い対応にほっとしました。

実際に、巡回してみて驚いたのは、避難者の数が半数以下になっていること、
比較的お元気な方は勿論ですが、ようやく動けていた方や熱発していた方もいらっしゃいません。
お天気がよいので、環境の良い自宅に一時帰宅されているようです。
夕方6時くらいにはまたほとんどの方が戻ってくるとのこと。

これが家屋損壊の酷い益城や阿蘇と、損壊はあまりないが屋内が散乱していたり不安が強い市の中心部との違いです。
怖いので避難されている方やライフライン(特に水道)がなくて避難されている方が多いのです。

その後、2校を回りましたが、同様の状況でした。
ここもはっきりはしないのですがDMATが入ったようですので、一安心。
巡回回診の初期の目的は、DMATのおかげでほぼ果たしたようです。

クリニックに帰り、訪問看護から要請のあった在宅の方の外傷処理に出かけました。
対象は50代の男性でパーキンソン病、在宅独居でもともと転倒の多い方ですが、今回震災で散乱した荷物に躓いたとのこと。
大きな家に一人で住んでおられ、丁度飲み物をこぼされ着替えをしようとされていました。
この方は私の患者さんではなく、大きな病院から訪問リハビリテーションの依頼を受けています。
予想していたよりずっとADLが悪く、お一人では大変だなあと思いました。
創傷そのものは挫滅創で、ハイドロサイトとフィルム処置をおこないました。
比較的頻回に転倒されるので、スポーツ用のニープロテクターを着用されるよう指導しました。

在宅の現場は、震災前と大きな変化はありません。
ただ十分なサポートが入っていないところは、生活用水や飲料水の問題があり、明らかに劣化しています。
難しいですね。

帰りに、多くのゴミ集積所でゴミが満杯になりそろそろ悪臭を発し始めているのに気づきました。
震災ゴミでなく生活ゴミなのに、ゴミ収集車が動いていないようです。
クリニックは契約している業者ですので、普通に動いています。
市で動けない理由があるのでしょうか・・・

避難所は皆さんよく頑張っていらっしゃると思います。
けれども共通していえるのは、情報の1元化ができていません。
先ほどのDMATについても、何名でどこのDMATが来たのか、結果はどうだったのかということが判りませんでした。
これは、支援物資のサプライチェーンが上手く機能していないのと同じです。
この部分に関しては、今後の大きな課題であり、プロフェッショナルな対応が望まれます。

自宅に帰り、昼食を摂ると、一度に疲れが襲ってきてそのまま3時間ほど眠ってしまいました。
震災から1週間が過ぎ、避難所も落ち着きつつあります。
逆に張り詰めていたものが少し緩み、疲れもでてきました。

さて、明日日曜日、どうしましょう?



by ccr-net | 2016-04-23 23:11 | 熊本地震

百聞は一見にしかず

避難所の現実は大変

本日熊本は朝から雨、途中から本降りになりました。
昨日、避難所に指定されている小学校の校長先生からご要望があり、
午前10時半から避難されている高齢の方のラウンド(巡回回診)をおこないました。

午後1時くらいまで宜しければ診て頂きたいという申し出に、
『そんなにはかからんもんね!』と高をくくっていました。

この避難所は総勢700名、高齢者が150名くらいということです。
巡回回診ですので、実際にはそんなに診る方はいないだろうと思っていました。
ここには3日前から当院のPT・OTが主に下肢の血栓予防での運動やマッサージにはいっています。
事前情報からは医療必要度は十数名ではないかという話でした。

ところが、行ってみると大違い。

150名をすべて回るどころか、実際に回れたのは50名くらい、そのうち医療介入が必要な方は10名程度です。
エコノミークラス症候群のチェックを主な目的としていたので、全員下腿〜足を診ます。
勿論基礎疾患の有無もお聞きするのですが、大変でした。
時間がかかった原因の一つは急な話でしたので、看護師が同伴できなかったことです。
けれども、帯同してくれた女性作業療法士(ここに3日間介入している)の働きは素晴らしいものがあります。

結果、救急搬送が1名、下肢静脈血栓及び疑い2名、低血糖2名、低栄養2名、感染症(感冒・膀胱炎など)2名、創傷処置数名でした。勿論、腰が痛い・膝が痛い・足がしびれる・倦怠感がある・血圧が高い等の方は沢山います。
この施設は3階の教室まで避難所となっており、構造が複雑で迷路のようです。
実際、救急搬送となった方の場合、その方のおられる場所に担当保健師が救急隊を案内できない状態でした。

午後から、別の小学校と中学校も回りました。
午後は2名の訪問看護師が帯同しました。
救急搬送こそ有りませんでしたが、似たような状況です。
結局、全体のラウンドを目的としながら、全く目標が達成されていません。
にも関わらず、疲労は増していき、午後5時に帰院したときにはぐったりでした。

震災後1週間経ちました。
この時期に、全体を一度診ておくことは大切なことです。
避難されている方々の疲労も大きくなっています。

それでも、皆さん文句も言わず、静かに横になったり、座ったり、談笑されていました。
でも、必ずしも健康とは限りません。

百聞は一見にしかず
勿論一見では判りませんが・・・





by ccr-net | 2016-04-21 21:36 | 医療

被災したって医療はできる 5

仕事するって楽しい、非日常から日常の勧め

本日からクリニックでの診療を再開しました。
午前10時〜午後5時の限定ですが、取りあえず現状での当院の実力です。
しかも本日はたまたま水曜日で、もともと13時までしかみていません。
ということで午前10時〜午後1時までの3時間
怒濤の時間でした。
現在のスタッフの体力的な限界で看護師は4名いて比較的余裕があるのですが、クラークはわずか一度に2名で大変です。
頻繁に鳴る電話対応は途中から看護師に任せ、ロビーの交通整理は2名の理学療法士がおこないました。
非日常から日常への変化、避難生活を送っているスタッフも生き生きとしています。

いつもとは異なり、本当に簡単な診療に終始しましたが、その中で大変難渋した方がおられます。
七十代後半の女性、震災当日に受傷(受傷機転不明)、左下肢全体の皮下出血と下腿の腫大があります。
この方は以前から高血圧と狭心症、陳旧性の静脈血栓があります。
震災で住んでいたアパートが破壊され、当日から避難所暮らし、心的外傷後ストレス障害があり言動に落ち着きがありません
クリニックまでどうやって来たのかさえ覚えていません。
下腿は両側打撲ですが、特に左側が強く新鮮血栓と思われるものはありません。
行動範囲は非常に狭くほとんど臥床しておられます。

ここまでは、簡単でした。
問題は、これから。

静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)のハイリスク群ですから、入院での加療が必要です。
けれども、どこも空きがありません。
5カ所の医療機関に断られ、ようやく6件目に入院を引き受けて頂きました。
本当に震災時は入院が困難です。

その後、往診へ行き、熊本市立五福小学校へ。
ここは700名の避難者がいて、市内では最大規模の避難所になっています。
ご高齢の方が沢山おられるとの報告を前日からボランティアで入っている当院スタッフ受けていました。
その方々の状態を確認したいと思ったのですが、流石に最大規模の避難所、把握されていません。
ただ、震災以後医師の検診はおこなわれていません。

ということで、明日の午前中急遽ラウンドと検診(栄養検診と血栓症チェック)をおこなうことにしました
ケアマネージャー・医師・看護師・理学療法士のチームで行きたいのですが、
まだスタッフの了承をとっていません。

どうしましょう?




by ccr-net | 2016-04-20 21:07 | 熊本地震

被災したって医療はできる 4

エコノミークラス症候群(ロングフライト症候群:静脈血栓塞栓症)に注意

震災5日目、ようやく電話を含む通信回線と電子カルテが復帰しました。
結構大変でしたので、手伝って頂いた西日本メディカルの小川さんとスタッフの方々、本当に有り難うございました。
疎開している者を除きほぼスタッフ全員が揃い、散乱したクリニックの掃除や整理に加え昨日結成したチームが始動しました。

まだ避難所生活を送っている者も多く、断水も現時点では改善していません。
その中で、明日から午前10時〜午後5時という限定的な診療を再開する旨、皆で決定しました。
スタッフは笑顔は見せても、被災者であり家も片付いておらず、皆疲れています。
でも、そうした中で働くという日常を取り戻すことが大切なことなのです。
当分は、半日勤務、職種によっては隔日勤務としました。

さて、被災してから5日も経つとだいぶ地震に慣れてきます。
だって、この間、余震も含め500回近い地震を経験しているのですから・・・
その地震が怖かったり、避難所生活を嫌ったりといった様々な理由で車中生活を送る方々がいます。
そのせいもあり前例をみない数のロングフライト症候群がおこっています。
すでに死亡する方もでてきました。
この原因としては、以下のようなものがあります。

【米国胸部医学会 CHEST ガイドライン 2012】
・長時間同じ姿勢を取っている
・高齢者
・肥満
・女性ホルモンのピルを使用
・妊娠やがんなど

一方よく言われる、水分不足や飲酒などはエビデンスは低いとしています。
この中で、長時間同じ姿勢を取っているということが一番の原因です。
東日本大震災での福島県立医科大学の研究でも、同じ事がいわれています。
と言うことは、同じ姿勢を続ける車中泊が良くないことは、明確です。

ではどう予防したらいいのでしょう?

車中泊を止め体を動かすことです。
勿論、避難所でじっとしていても同じ事です。
先ほどの福島の研究でも、多いのは長時間座位や臥床であり、車中泊はその次にきています。
米国胸部医学会の診療ガイドライン(2012)では予防法は下記のようになっています。

・長時間同じ姿勢でいない(特に車中などの窮屈な姿勢でいない)
・足の運動をする
 ・足や足趾をこまめに動かす
 ・1時間に1度は、踵の上下運動(20〜30回程度)をおこなう
 ・歩く(5分程度)
・適度な水分をとる
・時々深呼吸をおこなう

また、下肢のマッサージや運動・メドマーなどのマッサージ機器の使用(注意が必要です)も有効です。
私たちのクリニックでは18日から2カ所の避難所・1カ所の施設に医療資格のある専門職が体操やマッサージに入っています。
医療はクリニックの中ではなく、現場ですでに始まっています。
在宅医療の現場(訪問看護・リハ)は震災当日から動いていますし、田中医師もすでに多くの訪問診療をおこなっています。
ケアマネージャーも同様です。
避難所だけではなく、自宅でじっとしている要介護の高齢者の方々で極端に栄養状態が堕ちている方も数多くいます。
こうした方々には無償で最低限の経腸栄養剤(ラコールなど)を届けています。

すでに医療や介護は震災の当日から多くの医療機関でおこなわれているのです。
でも、もっとも大切なのは被災している皆さん自身(特に高齢の方)が、動くことです。
じっとしていると、エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)などの合併症を引き起こしてしまいます。

地震はまだあります。
でも、動かないといけません。

医療者や介護従事者だって被災者なのです。
でもすでに動いているでしょう?
だから皆さんも動きましょう。

大切なのは、この非日常から少しでも日常を取り戻すことです。




by ccr-net | 2016-04-19 23:50 | 医療

被災したって医療はできる 3

父は疎開へ、チームは始動

昨日昼、90才の義父を医療疎開目的で親戚の診療所に預けるため、熊本を出ました。
大牟田まで通常は1時間くらいでつくところ、大渋滞で4時間かかりました。
疲れ果てた私たちを暖かく迎えてくれた従兄弟夫妻、心から感謝しています。

一夜明け、父はよく眠れ、心なしか一段と元気になったようにみえます。
大量の水(ポリタンクで200リットル )と食料や清拭剤を山のようにハイエースに積み込み、
帰りは行きの半分の2時間強でした。
そこに、福岡の友人が待望のウオーターサーバーや水・支援物資を届けてくれました。
なんと嬉しいこと!
なんて素晴らしい友人!
家に帰り着くと、急激に疲れが出て妻とぐったりしていましたが、ようやく昨日から考えていたことを実行する時がきました。

せんだメディカルクリニックは、震災以来ほとんど機能していません
それは度重なる電話回線の障害や地震のせいではありません。

水がないのです。
飲料水だけでなく生活用水がないことが、これほど大変だとは思っていませんでした。
スタッフのトイレさえ確保できないのです。

在宅は機能しています。
居宅もそうです。
けれども上記の理由で、クリニックでの通常の医療やデイケアなどは稼働しません。
それほど、水の問題は深刻でした。

それが、ようやく解決の糸口がみえました。
在宅・介護・クリニックの3つが一丸となり、機能を分担することで解決の糸口がみえてきました。
法人全体に声をかけ、午後6時に八割のスタッフが集まりました。
そのうちの4名は車上生活です。

詳細はここに書きませんが
ケアマネージャーから現在のこの地域の状態の報告と確認
訪問看護からは居宅や高齢者住宅の現状の報告と問題点
リハビリテーション部では本日院外活動をおこなった益城地区でのリハや運動の重要性とボランティアの現状
こうしたことに、各職種やセクションから活発に意見や疑問を出して貰いました。

ここにいる全員が私を含め被災者です。
前述のように家に帰れず、車上生活を行っている者もいます。

何をしなければいけないのか?

答えは簡単、最低限の安心と環境を提供し、全員が情報を共有することです。
そうして、はじめて医療がおこなえるのです。

いくつかのチームを編成しました。

飲料水の確保をおこなうチーム(タンクへの水道水の貯留)
生活用水を確保するチーム(トイレ用)
さまざまな物資の調達チーム(患者さんなどの体ふきシートひとつにしても県内では調達できません)
訪問看護の中で特に問題になった栄養と清潔の確保
全体の物資と情報を管理するチーム
院外リハ(エコノミークラス症候群の予防)をおこなうチーム
そしてクリニックで診療と在宅医療をおこなうチームです。

クリニックのリハ室は物資の管理と作戦室へ
2FのSTUDIO(研修室)は車で生活していたスタッフが寝たり他のスタッフの休息所に
デイケアは同じく車上生活をしていたスタッフ一家の眠る場所へ
それぞれ、その役割を変えました。

こうしたことをおこなって初めて、私たちは医療者としてのスタートラインに立てると思います。

私は全力でスタッフを支える環境を提供し
スタッフは協力し合い医療法人全体を支え
そして法人全体で医療や介護を支えるのです。

明日ようやく、スタートラインに立てる準備が整いました。
大切なのは本音を語ること・・・
そうしなければ医療なんてできません。

胸を張って医療が出来る日が見えてきました。


by ccr-net | 2016-04-18 21:39 | 医療

被災したって医療はできる 2

震災で強まるチームの絆

本日未明、再びM7.3の地震が起こりました。
今回はとても強い地震で、後の報道で判ったのは、今回が本震、前回の16倍の強さだそうです。
零時過ぎに眠りにつき1時半に飛び起きました。
その後は、暗闇の中何だか興奮して眠れず、午前2時半にクリニックに向かうと駐車場は避難の車でいっぱい。
裏口からクリニックに入ると、不思議なことにここは停電していません。
わずか70mの違いなのに不思議ですね。

内部は、昨日よりひどい状態で唖然、ロビーから見る駐車場は暗く半数くらいの方は車の外に出ておられます。
幸い停電はしていませんでしたので、ロビーや入り口の灯りをつけました。
明るいとなんとなく心強いような気がしたのですが、独りよがりかもしれません。

さて、クリニックに向かったのは、本日クリニックを開けることが出来るか?というものでした。
結論は、この時点では〝救急特化で開ける〟でした。但し、希望するスタッフのみです。
すでにLINEグループでのスタッフ安否は確認できていましたので、その旨流しました。
いったん帰宅し、午前5時に水の確認をしていないことに気づき、再びクリニックへ。
するとやっぱり完全に断水です(自宅は停電+断水)。
こうなるとタンクレスのトイレの弱さ、トイレが使えないのです。
すでに診察室やセンターヤード・ナースヤードは散乱状態、この時点で診療は諦め休診としました。
自分のみ朝9時から出来る範囲の外傷処置をおこなうつもりでした。

朝になり、8時過ぎ理学療法士の甲斐PTから連絡が。
〝先生、クリニックに来たのですが、何名か前に待っておられます〟
なるほど、怪我は待てません。
と言うわけで、8時半にクリニックへ!
驚いたことに先ほどの甲斐PTだけでなく田中PT・平生PTの3名が来てくれています。
甲斐PTの住んでいるマンションは損傷がひどく、田中・平生PT両名の家族は近くの小学校に避難しています。

〝私たちができることをさせてください〟

いいねえ、こういうの!!

ということで、手術室で大きめのカート2台に創傷被覆材や処置材・ディスポーザブルシートや消毒キット・縫合セットを載せ、院内処方の薬剤全てをトレイに載せリハビリテーション室での処置を開始しました。
リハ室はカーテンこそありませんが、ベッドの配置を変えると救急外来に似ています。
そこで4名で連携をしながら処置をしました。
骨折の方の1本杖歩行も彼らならお手のものです。
また慣れないお薬や医療材料の準備も!

その後、PCやモニターなどの機材を転落防止のためにブランケットで包んでプラットホームに置きました。
それぞれ大変な中、来てくれて本当に有り難う。

さて、帰宅すると今度はケアマネージャーから連絡が。
老老介護のご夫妻(認知症あり)から早朝4時から何度も連絡があるとのこと。
内容は、〝食べ物や飲み物がない、咳が出る〟
これが通常の状態であれば、〝緊急避難的入院〟や〝ショートステイ〟ということも可能ですが、
この被災の状況では無理です。

さて、どうしましょう?

要は〝食べ物と飲み物〟があればよい、ケアの視点では栄養や脱水が心配です。
というわけで、本日物品の散乱で閉めていたいつもお世話になる調剤薬局にお願いしラコールを一箱買い取りました。
ラコールは優秀な経腸栄養剤、味も美味しく栄養満点、水分も十分に取れます。
一箱24パック、お二人でしばらくは大丈夫でしょう。
担当ケアマネージャーは、自転車で飲料水とラコールを積み込み、一路患者さんのお宅へ。

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非日常では、通常の手段や方法と異なる発想や協力が必要です。
そんな時、役立つのはやっぱり仲間の知恵や親切な心です。
こうしたチーム医療もあるんですね。

震災2日目
なんだかチームの結束が強まったように思うのは私だけ?




by ccr-net | 2016-04-16 16:21 | 医療

被災したって医療はできる

熊本地震後、1日目

昨日4月14日午後9時半頃、熊本は震度7の地震に襲われました。
4月15日午前零時現在、物品は散乱しているものの取りあえずライフラインが確保でき、建物も大きな損傷はありません。
診療行為が可能と判断し午前9時から一部リハビリテーションを除く診療を開始する旨、クリニック全スタッフに伝えました。
勿論、被災状況により通勤できるものに限ります。

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午前7時半、クリニックに出勤するとほとんどのスタッフがすでに出勤し、散乱した物品もほぼ片付いています。
その中には、午前零時前後にクリニックを心配し来てくれた看護師もいます。
彼女は、その後部屋に帰るのが怖くそのまま駐車場の車に泊まっていました。
彼女以外にも、避難場所の学校の校庭で過ごした者や不安で一睡も出来なかった者も皆出てきていました。
クリニック以外の訪問看護やデイケアスタッフ・ケアマネージャーもほとんどが午前8時には来ていました。
取りあえず、訪問看護やデイケア・居宅支援は利用者の方や患者さんの安否確認と必要な訪問をおこない、解散。

クリニックは電子カルテはすぐに復旧しましたが、肝心の電話やFAX、インターネットが使用できません。
光ケーブルからのターミネーターの故障です。
スタッフ全員の携帯電話で本日来院予定の方の安否確認とリハビリテーションなどの緊急性のないものをキャンセルしました。
午前10時半頃には扶桑電気の方のおかげで通信ラインが回復し、通常の電話での通話が可能になりました。

11時頃になると水道の出力が低下しトイレなどの使用が多くの人数には対応できなくなり、診療制限を開始。
縫合や骨折などの緊急性のあるもの以外は、投薬などの診療は非常にコンパクトなものとしました。
午後には、リハビリテーション部の大半は帰宅させ、午後3時には看護師の半数とクラークの一部も帰しました。
午後6時半、最後までつきあってくれた医師2名・看護師3名・クラーク3名・理学療法士2名も帰宅の途につきました。
震災1日目のクリニックはこうして終了しました。

おいでいただいた88名の患者さん(内4名在宅、内2名救急搬送)の迅速なご回復を心からお祈りしています。

この1日で学んだこと

検査センターは検査可能な状態か?
被災後の水道は安定しないので信用できない(滅菌業務に注意!トイレは大量の水を使用する)
飲料水の確保は絶対に必要(ストック分60本を解放)
医療スタッフも人である(スタッフの疲労度に注意!気持ちだけではやってられない)

まだ今後の余震もあり、クリニックの壁や天井に走った亀裂などの補修工事(内装だけだけど結構大変)も控えています。
でも、取りあえず1日目は私たちは医療者としての誇りと自覚を持って行動できたと思っています。

私はあなたたち全ての医療介護スタッフを誇りに思っています。

さて、2日目はどうでしょう。



by ccr-net | 2016-04-15 21:04 | 医療

利用可能エネルギー不足をご存じ?

女性アスリートに大切な栄養管理

最近多いのが思春期の女子選手の無月経です。
疲労骨折や慢性疲労で受診する多くの選手に認められます。
すでに婦人科を受診しショートピルなどの治療を開始されている方も、不思議なことに栄養指導を受けていません。
コレって、困ったものです。

女性アスリートのこうした問題について以前からアメリカスポーツ医学会では問題にしています。
b0102247_22590400.jpeg
この女性アスリートの3主徴が、スポーツ選手の故障の原因の多くを占めています。
特に一番上の利用可能エネルギー不足が無月経や骨粗鬆症の原因にもなっています。
では、利用可能エネルギー不足とはなんでしょう?
b0102247_23025610.jpg
1日に摂取したカロリーから運動(スポーツ)で消費するエネルギーを引いたものが、利用可能エネルギーです。
この利用可能エネルギーで、体を整え、日常生活をおこない、普通に生活していくのです。

本日来院した14才の少女は、基礎代謝(じっと寝ているだけで使用するエネルギー)が約1300kcal、
実際には動くわけですから普通の人で生活係数1.5を掛けると1日に必要なエネルギー量は約2000kcalになります。
で、先ほどの利用可能エネルギーが最低この基礎代謝の1300kcalを越えていれば問題ないのですが、
ほとんどのアスリートが500kcalを切っています。
これでは体を維持できるはずがありません。

まずはキチンと食べること!
腹が減っては戦はできませぬ!!







by ccr-net | 2016-04-11 23:20 | 整形外科
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