SENDA MEDICAL CLINIC BLOG

ccrnet.exblog.jp ブログトップ | ログイン

被災したって医療はできる 2週間の総括

震災後2週間の総括と反省点

震災後2週間が経過し、市内では街も徐々に落ち着いてきました。
勿論、避難所生活をされている方はまだおられますが1/3程度となり、
各小中学校の運動場も駐車している車は10台程度となりました。
水が戻り、ガスが戻り、外食も少しずつできるようになってきました。
でも、一つ角を曲がると、幾つもの家屋に立ち入り禁止の赤紙が貼られ、道は波打っています。
震災の爪痕はまだまだしっかりと残っているのです。

今回の震災後の私の行動で幾つもの反省点があります。

最初の地震(前震)の翌日、クリニックを開けたのは正しかったのか?
当初はこれが本震といわれておりこの時点で建物はほとんど被害がなく、一部機材の損傷があった程度でした。
ライフラインも生きており(ガスは止まっていた)、震災の患者を受け入れる目的で開院したのは間違っていないと思います。
ただ、火災訓練は年に2回おこなっていても、地震訓練は一度もおこなっておらず、患者さんの安全が担保されていたかというと疑問です。
自動ドアだけは電源を切り開けていましたが、避難の打ち合わせはおこなっていませんでした。
ただ、昼前から急激に水道の出が悪くなり、トイレ使用に問題が出そうでしたので、午後からのリハビリテーションを取りやめ患者制限をおこなったのは正しい判断だったと思います。

2度目の地震(本震)当日の私の行動。
深夜1時半に本震がおこり、熟睡していた私は妻にたたき起こされました。
本当に強い地震で初めての経験です、1回目とは比較になりませんでした。
直後から停電となり余震も何度もありましたが1時間ほどで落ち着きましたので、
クリニックへ様子を見に行きました。
この時のことは、被災したって医療はできる 2に書いています。
クリニックが診療できる状態か否か確認しに行ったのですが、あとで考えれば本震直後のこの時期に無謀な行動でした。
妻も大変心細かったようです。
結果的に、創傷や骨折のケアだけでクリニックを開けたのですが、駆けつけた3名の理学療法士のリスクを考えると、医師としては正しくとも、管理者としては間違った行動だったと思います。

選択肢は二つ

医師として手の足りない済生会熊本病院や熊本医療センターへ行く
自宅で家族と共に安全の確保を図る

取るべき道は後者、自分と家族の安全を図ることが最優先だったと思います。

その後の、チーム編成は正しかったか?
震災3日目、被災したって医療はできる 3に書いたように医療班や物資調達班など幾つかのチームを作りました。
効率的な動きとスタッフの最低限の生活を支え、今できる医療を地域に提供することが目的でした。
結果的には正しい行動だったと思いますが、 課題も見えてきました。
地域支援活動を、当初、要請のあった益城でおこない、肝心の周辺地区の支援活動が遅れたことです。

なぜそうなったのでしょう?

災害時の支援活動のシミュレーションや避難マニュアル・行動マニュアルが皆無だったからです。
これは震災後1週間のミーティングでスタッフから指摘されました。
いかに私たちが災害時の対応を考えていなかったか、危機感がなかったかを実感しました。

避難所の支援活動や診療体制は万全だったか?
これは考えるまでもなく、お粗末なものでした。
医療法人全体で60名以上いるスタッフの有効活用が出来たとはとてもいえません。
結果的に計画性がなく、行き当たりばったりのものだったのではないかと、自戒しています。

物資は十分だったか?
これは言うまでもありません。
準備は皆無でした。
たまたまデイケアをしているので、飲料用のミネラルウオーターが200本以上ありました。
でもそれだけです。
生活排水に対応できず、慌てて遠方へ買い出しに行ったり、他県の友人や親族に分けてもらいました。
ライフライン中でも、水の大切さ貴重さを実感した2週間でした。

クリニックを開ける時期は適切だったか?
これは適切だと思っています。

まず水が確保できること、
患者用トイレがきちんと使用できること、
これができないと医療機関としては質の担保ができません。
最悪の場合、ノロウイルスなどの感染症を引き起こします。
二次災害としての感染症に徹底的に拘り、来週からの本格稼働としました。
具体的には4月27日夜水道水の水量が上がりトイレ使用可、28日丸1日観察し断水や水量の低下がないのを確認、
29日患者トイレの使用開始(130名の来院で問題なし)、
これでようやく、リハビリテーションを開始できると判断しました。
もしかしたら、一昨日から稼働可能だったかもしれません。

でも、この時期大切なのは二次災害の予防
医療では感染症と静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)の予防と、低栄養の改善です。

こうしたことは今までの2回の震災で学ぼうと思えば学ぶことができたことです。
でも、『自分たちは大丈夫!』という、間違った思い込みがありました。
震災は、いつでもどこでも起こるのです。

行政の対応やシステムの不備なども問題があるでしょう。
でも、一番問題だったのは自分たち自身の意識の欠如です。

震災が落ち着いてきた今こそ、こうしたことを考える時期にあります。
本日、大牟田の親戚に預かって頂いていた義父を迎えに行きながら、こんなことを考えました。



by ccr-net | 2016-04-30 17:43 | 熊本地震
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31