SENDA MEDICAL CLINIC BLOG

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在宅医療は存続できるか?

内容と報酬が割に合わない不思議な世界

医療機関も法人ですから決算というものがあります。
私達のクリニックは医療法人CCRという法人に属しており、その中にクリニックや訪問看護ステーション・居宅介護支援事業所・通所リハビリテーションセンターなどがあります。
その決算月が8月ですので、決算に向けていろいろな経営分析をおこないます。
医療法人の目的は奉仕と社会福祉ですが、つぶれてはいけませんのである程度の営利も追求するのです。
そうすると、普段はあまり気にしていない色んなことが見えてきます。

ということで、在宅医療をみてみました。
すると、とんでもないことが判りました。
現在のシステムでは在宅医療は割に合わない(非採算部門)のです。


現在、私達は医師二人で(といっても大半は副院長ですが)64名の在宅医療をおこなっています。
6月の内訳はサービス付き高齢者住宅などの施設が34名、居宅(自宅)が30名です。
今期改訂で施設居住者に対する訪問診療は驚くほど安価に設定されました。
以前の1/4です。
居宅と手間はあまり変わらないのに呆れた改訂ですが、一部の介護ビジネスに対する懲罰的改訂です。
その影響を在宅医療をおこなう医療機関はまともに受けました。
これを回避するには1日に1施設1名しかみないという方法があります。
そうすると施設あたり月に最大30名の患者さんを診ることができます。
でも、同じ施設なのに一人しか診ないというのは医療資源(医師)の無駄使いです。
けれども、そうしないと在宅特化型の診療所は本当につぶれてしまうので、多くの医療機関がそうしました。

で、私達は?
『そんな馬鹿なことはできない!』ということで、今まで通り一度に5名ほどの方を診ています。
私の往診日は基本的に水曜日午後(今日)ですが、副院長は毎日真面目にあちこちに出かけています。
雨の日もカンカン照りの日も、遠くまで往診し、頭が下がります。
ということで、かなりの手間と時間を掛けて在宅医療をおこなっているのです。
しかも、今期改訂で示された減算手続きで・・・

2カ所の介護施設(片方は片道30分のところにあります)で計34名の方を一度に5名くらいずつ診ます。
月2回診るとして月に延べ14回の往診をおこなうことになります。
時間外や休日も呼ばれることがあります。

するとどうなったでしょうか。

その医療報酬はクリニックの1日の医療収入に遠く及ばないのです。
つまり、休診日を設けて往診などせず普通に診療した方がよいのです。
これって、変ですね。

居宅への往診は、それなりの対価があります。
きちんと労力に応じたものがあるのです。

私達のように減算を前提として訪問診療をおこなっているところは、少ないのではないでしょうか?
なぜって、それでは経営が成り立たないからです。
幸い、私達には、しっかりとした外来が有り、訪問診療での減算を補うことが出来ました。
けれども、本来在宅医療とは、それだけで成り立っていくもののはずです。

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 最近よく往診車として借りるビュンビュン2号

医療をおこなっていく上で、必ず採算部門と不採算部門があります。
不採算部門を採算部門が補うので、それぞれのバリューチェーンが成り立っていくのです。


超高齢化社会はすぐそこに迫っています。
在宅医療はこれからの社会には必須です。
なのに、それが経営的に成り立たないとしたら・・・
そんなことはあってはならないのです。

訪問診療は効率的ではありません。
時間も労力も膨大です。
けれども多くの在宅医は黙々とそれをおこなっています。
理由はここに書くまでもありません。

不正があれば、懲罰的改訂もよいでしょう。
けれども、その先に未来を見据えたものでなくてはなりません。
果たして、厚労省は医療の未来をみているでしょうか・・・


決算を控え、さまざまな分析をおこないながら、こんなことを考えてみました。




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by ccr-net | 2014-07-09 22:55 | 医療
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