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新型インフルエンザワクチンの接種は集団接種が原則

前回の失敗から学んだワクチンの接種方法

中国での鳥インフルエンザの動向が気になる昨今、未知の感染症に対するガイドライン案が出てきました。
新型インフルワクチン「集団接種が原則」-政府がガイドライン案と題されたCB newsに掲載された記事によると下記のようになっています。
政府は14日、「新型インフルエンザ等対策有識者会議」を開き、新型インフルエンザなど未知の感染症が発生した際の対策の具体的な運用を定める「対策ガイドライン」の案を示した。予防接種に関するガイドラインを新たに定めたのが特徴で、原則として集団接種で行うことを明記した。
 2009年に発生した新型インフルエンザの際には、生産効率がいい大容量のバイアルのワクチンが多く供給されたが、個別接種では使い切れない医療機関が多かった。

詳細はリンク先を読んで頂くとして、注目すべきは以下の2点。
・住民接種の会場については、「人口1万人に1か所程度」
・帰国者・接触者外来は「10万人に1か所程度」


熊本市では人口から接種会場71箇所、外来7カ所となります。
接種会場は中学校52校でよいとして、問題は帰国者・接触者外来です。
数の上では、熊本医療センター・日赤・市民・中央・済生会の5病院に地域医療センター・再春荘の2病院、必要時大学病院を加えることでなんとかクリアできそうですね。

問題は、その先です。
感染が一定以上拡大するまでは、感染症法に基づき、すべての患者を感染症指定医療機関などに入院させる。感染が拡大したら、重症患者を受け入れる病床を確保するため、軽症患者は自宅療養とする。緊急時に医療法上の定員を超えて患者を受け入れることについては、一時的には「やむを得ない」としながらも、常態化しないよう病病連携を十分に活用することを提言している。

さて、熊本で考えて見ましょう。
感染症指定医療機関は第1種と第2種の2種類。
第1種感染症指定医療機関は、全国で41医療機関でわずか79床!
熊本では熊本市民病院の2床のみです。
第2種まで広げてみるとどうでしょう。熊本県の感染症病床だけでみると以下のようになります。
470 熊本市立熊本市民病院 10床
473荒尾市民病院     4床
474山鹿市民医療センター 4床
475菊池郡市医師会立病院 4床
476阿蘇中央病院 4床
478宇賀岳病院 4床
479健康保険八代総合病院 4床
481国保水俣市立総合医療センター4床
483健康保険人吉総合病院 4床
484健康保険天草中央総合病院 4床
実際に結核病棟まで広げるともっと多くなりますが、この病床数は現実的ではありません。
結局、大流行時には手に負えないことになりそうです。
勿論、病床数を増やせばいいのでしょうが、これには莫大な費用がかかります。

新型インフルエンザワクチンの接種は集団接種が原則_b0102247_8142145.jpg


結局未知の感染症の大流行時にはコンテイジョンにみるように野戦病院化するしかなさそうです。
となると大切なのは予防接種ということになりそうです。
集団接種は合理的だと思いますが、前回失敗した優先順位の融通性のなさ、これを解決するのが大事ですね。

兎も角、第一歩が踏み出せたことは大歓迎です。




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by ccr-net | 2013-05-16 08:16 | 感染管理
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