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神戸大学救急部にみるER体制の難しさ

北米型ERのよさと欠点

今日4月16日、多くのメディアで神戸大学病院救急部の新規の救急受け入れ中止のニュースを報じていました。
これを単なる白い巨塔の勢力争いととる方も多いようですが、どうも本当の所は異なるようです。
日経新聞Web刊が比較的正確です。
神戸大医学部付属病院(神戸市中央区)が4月5日から新規の救急搬送患者の受け入れを中止していることが16日、分かった。3月以降救急部の医師9人中6人が辞表を提出したため。再開には数カ月かかる見通し。かかりつけ患者の救急搬送は、他の診療科の医師らの応援などで対応する。
 神戸大病院は神戸市内に4カ所ある災害拠点病院の1つ。同病院によると、2012年の救急患者は6600人。うち救急搬送患者は2400人で、今回受け入れを中止した新規患者は420人だった。
 同病院では昨年、救急医療体制について、救急部が患者を専門医に振り分けるER(救命救急室)型に転換する方針を決定。今年3月の教授会で他大学の医師が新たな救急部の教授に決まった。その直後から6人が相次ぎ辞表を提出した。
 同日記者会見した杉村和朗病院長は「救急部の負担が大きくこのままでは救急医不足に陥る。できるだけ早く北米型ERの救急体制で再開したい」としている。

さて、どうも従来型の救急体制から北米型ER体制に変更したのが原因のようです。

ホームページを見てみると、神戸大学の救急救命科は日本型の3次救急を担当する救急救命センターです。
この日本型というのは1次〜3次救急まですべてカバーし、救急医が必要時病棟までカバーします。
これに対して、北米型ERというのはどうでしょう。
北米型ERでは、全ての救急患者をER専門医が救急外来にて初期診療を行います。
その後入院となった場合、ER専門医やトリアージナース(専門看護師)が担当科に振り分け、入院後の治療や手術には関わりません。
一旦入院となったら専門医の領域になるわけです。


これによく似た救急システムに各科相乗り型救急システムというのがあります。
従来から日本に一番多かったもので、以前私がいた時代の病院がこれでした。
専門救急というと聞こえはよいのですが、これは北米型ERと異なり、全救急患者を横断的に初期診療するシステムではありません。これは、最初に救急外来で患者に対応した医師・看護師が担当科を指定します。従って、必ずしも適切な振り分けとはならず、各科の力関係で決まることも少なくありません。
従ってこの場合の看護師はトリアージナースとは言いません。

今回は、前述の日本型ERから北米型ERへの転換が争点の一つだったようです。

北米型になれば救急医は入院後の治療はおこなえませんから、トータルで診ていた従来型の医師には許容できないものであったのかもしれません。

私自身は北米型ERがよいように思いますが、これもERに豊富な人的資源があってのこと、
少ない人数でやりくりしている現状では実際の治療に参加できないジレンマがでるかもしれません。

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今回の騒動、けして白い巨塔の権力争いなどではありません。
日本の救急医療の抱える問題点が図らずも露出したのだと思います。

今となっては門外漢の私ですが、今回の騒動をこんなふうに考えました。

北米型ER、あなたはどうですか?



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by ccr-net | 2013-04-16 22:57 | 医療 | Trackback
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