高齢者の創傷処置は大変
高齢になるとちょっとしたことで皮膚を傷つけたり皮下出血をおこしたりします。
それは単にぶつけやすいとか怪我をしやすいといったことだけではなく、
皮下組織が薄くなり、皮膚も乾燥しやすいといったことも一因です。
今回併設の訪問看護事業所C&Rにお話しがあった症例は、下肢に多数の裂傷や挫傷のある高齢の女性です。
高齢者専用賃貸住宅にお住まいですが、そこの職員では手に負えなくなり私たちにご連絡がありました。
こうした創傷は一見「単なる傷」のように見えますが、実は非常にやっかいです。
皮膚状態が悪いので直ぐに悪化する上、下肢の浮腫を合併することも多く、傷の治癒が遅れてしまいます。
こうした場合の基本はスキンケアです。
まず十分な洗浄を行った上、ワセリンやヒルロイドなどの保湿剤を用い皮膚状態を改善します。
そうしてようやく創傷の治療が始まるのです。
その後また傷の洗浄+清浄化をおこなったのちウエット・ドレッシングをおこないます。
使用するのはデュオアクティブやハイドロサイト、カルトスタットやプラスモイストなど、
状況に応じて、何が一番適しているのかを判断します。
浮腫の強い場合は、被覆材の上からさらにバンデージングをします。
こうした創傷被覆材の多くは、
医療機関内での処置では算定が可能ですが、訪問看護では算定することはできません。
従って、持ち出しになります。
けれども従来のガーゼ・軟膏処置とは比較にならない良好な結果を得ることが可能です。

今回の症例は、創傷が広範囲におよび非常にやっかいです。
担当の訪問看護師と当院田中医師の腕の見せ所といってよいでしょう。
傷の処置は最初が肝心、
くれぐれも油断しないようにしましょうね。


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