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大切なのは人

医療における人材マネジメントとは何か?

先日、某病院の懇親会で古い友人に会いました。
非常に優秀な外科医である彼は、また同時に病院の幹部職員として経営者でもあります。
〝最近、病院はどう?〟という私の問いに、彼はこう答えました。

『けっきょく、うちの病院の駄目なところは、マネジメントに重きを置きすぎて、多くの人材を失ったことだ』

彼が言っているのは、ここ十数年医療界でブームになっている医療マネジメントのことです。

医療の世界にも他の産業と同じようにマネジメント(管理)の手法を取り入れることは大切な事です。
標準化やEBMそしてリスクマネジメントと多くの管理手法が医療の効率化と質の向上に寄与してきました。

『マネジメントに気をとられて、人を大事にしない結果、先生のような多くの人材を失う。結局、それが、病院の活力や魅力の低下に繋がり、組織として弱くなる。』

かつて私は彼と同じ病院に属し、彼の向かいの手術室でメスをとり、共に医療管理をおこなっていました。
私が病院を辞めた理由はまた別の機会に書きますが、一言でいえば、〝自前のチームで自分の好きなこと・目指すものをやりたかった〟というところでしょうか。
別に病院が嫌いで辞めたわけではありません。
その日、懇親会の主役であった先生やその場に同席したかつての同僚たち・・・みな時を前後してスピンアウトし、それぞれ自分の新しい活躍の場をみつけている面々に共通するであろう想いです。

『現在、病院の管理メンバーの中心にいる先生からそんな言葉が出てくるとは意外だ』
そう私が言うと、彼はちょっと苦笑いしました。
『いや、中にいるから方向性が間違っていることがよくわかる。でもそれを修正できないジレンマがある』

なるほど、偉くなるのも難しいものです。
彼が属する病院のトップは〝マネジメント〟が大好き!
No.2である彼がそれを修正できないというのです。
でも、なんか少し変です。

マネジメントには勿論〝製品管理〟〝顧客管理〟〝リスク管理〟等がありますが、〝人材管理〟もあります。
本来、いかに有用な人材を有効活用していくか、というのがマネジメントの基本でもあります。
それを〝マネジメント大好き!〟のあの院長が判っていないはずはないのです。
でも彼と話していて感じたのは、〝マネジメントのバランスをとるのは難しい〟ということでした。

その日、その場所にいた豪華な顔ぶれ、それが一緒のチームだったら・・・
そうした想いと、60を間近に、後に続く者への危惧が、彼の心にあったのかもしれません。

どんな組織においても、言うまでもなく大切なのは人です。
マネジメントの対象は、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つですが、まずは人なのです。


昨日退職する私たちの大切な〝人〟を前に、朝のラインナップで私はこういいました。

大切なのは皆さんの一人一人です。
皆さん一人一人が、私にとって大切な人材であり、チームです。
あなた方といつまで一緒に仕事をしていくことができるか判りませんが、
今、この瞬間、最高のチームでいられることが、とても幸せです。


昨日、優秀な私たちの仲間が旅立っていきました。
できれば、今後また別の形で一緒に仕事ができればいいなと思っています。

さて、チームから大きな一人が消えました。
ちょっと不安ですが、それをカバーしていくのもマネジメントの役割です。

大切なのは人、
当たり前だけれど、それを忘れてはいけません。




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by ccr-net | 2012-09-01 07:35 | 医療経営
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