もう局所麻酔注射は要らなくなるかも・・・
傷の処置や縫合を行う際、局所麻酔の注射なしでよくキシロカインゼリーを用いることは以前ご報告しました。
参考* 男はがまん、 案ずるよりは生むが易し、 etc
この場合、麻酔効果はけっして十分とは言えないのですが、そこに新しい薬剤が出てきました。
以前からレーザー脱毛などで輸入品として使用されていたエムラクリームです。
本日佐藤製薬のホームページに外用局所麻酔剤「エムラクリーム」発売のお知らせという告知が出ました。
これによると5月14日から発売されるようです。
エムラクリームは外用局所麻酔剤の1種で、1gにつき25mgのリドカインとプリロカインが含まれています。
両方足しての配合率は5%です。
さて従来の局所麻酔剤とどのくらい効果が違うのでしょう。
局所麻酔作用が最も強いのはテトラカインですが、副作用もあり創傷治療に使用されることは通常有りません。
ということは比較の対象はもっとも多く使用されるキシロカインゼリーになります。
キシロカイン(リドカイン)には2%ゼリーと10%スプレーがあります。
一見キシロカインゼリー2%は効果が弱く10%スプレーは効果が強いような気がしますが実際はどうでしょう。
創傷治癒で有名な夏井先生が創面麻酔としてのキシロカインゼリーとキシロカインスプレーという面白い比較をされています。
これによると創面麻酔としてはキシロカインスプレーは有効ではないようです。
ということはエムラクリームの効果はキシロカインゼリーと比較すればよいでしょう。
単純に比較すれば2%キシロカインゼリーが配合率5%(2.5%リドカイン+2.5%プリロカイン)のエムラクリームより分が悪そうですが、果たしてどうでしょうか?
もう一つの問題はコストです。
1gわずか8円のキシロカインゼリーに対しエムラクリームはなんと171.9円!
当院で術前にお渡しするペンレステープでも45.7円、
ちょっと高すぎるかも・・・

いずれにしても、局所麻酔注射なしの手術が一般的になってきそうですね。
麻酔の注射は痛いので、できればしたくないものです。
さて、エムラクリームどうしましょう?
(一般の手術や創傷処置には保険適応はありません)


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