SENDA MEDICAL CLINIC BLOG

ccrnet.exblog.jp ブログトップ | ログイン

医療は科学か?

医療は万能ではない、否定する愚かしさ

昨日来院された40代の女性、肩と足背の痛みが主訴です。
数ヶ月前より痛みがあり数カ所の医療機関を受診され、いずれも『異常なし』との診断。
最後の医療機関にいたっては、『精神的なものだ!』と一言で片付けられています。

さてXPを撮り診察をしましたが、予想通り何も異常所見はありません。
けれどもエピソードは一貫性があり、痛みは歴然と存在するのです。

医療者も患者もよく勘違いをするのは、
『画像や検査結果がすべて』と考えることです。
〝画像に異常がある=病気〟ではありませんし、逆に〝他覚的所見がない=病気ではない〟でもありません。
大切のなのは訴えや症状であり、XP・MRIなどの検査や他覚的所見はあくまでもそれを補足しより正確な診断を得るためのものです。

今回の症例では、痛みは歴然と存在します。
ただそれを今の医学のレベルでは客観的に評価し診断することができないだけです。
それでは、どうすればよいのでしょう?

答えは簡単です。
原因をこれ以上追及することなく、症状をいかに改善するかそれを考えていけばよいのです。

整形外科領域には痛みの治療も含まれていますから、時としてこうした原因の特定できない症例に遭遇します。
この際、大切なのはきちんとした検査をおこなって特定できないものは、それ以上原因を追求しないことです。
必要以上の原因追及は、誤った結論・誤った治療に結びつくことがあります。
先日おみえになった方は、他院への頸椎の手術依頼書をもらわれ納得できず、当院を受診されました。
明らかに頚椎由来と思われない上肢麻痺が存在したため、電気生理学的検査をもっとも信頼できる神経内科医に依頼しました。
結果、motor neuron diseaseで神経内科的治療となりました。
この方の場合、画像上の異常を神経所見より優先したため誤った結論に達していたのです。

医療は科学です。
けれども科学で有るが故に限界があります。

特に痛みの原因は特定できていないもののほうが圧倒的に多いのです。

医療はアートではない
よく言われる言葉です。
それは、ひとりよがりの医療はよくないというEBMに基づいた言葉でもあります。

でも、
医療は科学で有り、アートなのです。
それは、同じ材料・同じ造形をおこなっても出来上がってくるものは異なるからです。

痛みについてもし原因がわからない場合、
さっさと痛みの治療に取りかかりましょう。
今は、昔では考えられないくらい多くの薬剤が存在します。
そしてほとんどの痛みは薬剤による治療が可能となっています。

医療は科学か?_b0102247_1539509.jpg

診察上異常がないから、問題ない。
それは真理であり、真理ではありません。

謙虚であること、私を含めて医療者全員に必要なことです。

最近、少しばかり私が傲慢であったことは内緒です。



にほんブログ村 病気ブログ 医療・医者へ
Please click me
by ccr-net | 2011-11-23 15:40 | 医療
line

医療と健康について


by ccr-net
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31