SENDA MEDICAL CLINIC BLOG

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踏み出す勇気

進化するリハビリテーション

医療は日々進歩し、昨日のスタンダードが今日はもうスタンダードではなくなっています。
けれどもそれは先端医療の分野で、日常的な診療や治療ではあまり変わりはないようにもみえます。

今日はリハビリテーションについて考えてみました。
整形外科手術の術後リハビリテーションは大きく変わりました。
例えば以前は術後3週間安静臥床でその後も長期間の装具着用を必要とした頸椎前方固定術ですが、今では一部の施設では術翌日より装具なしで普通に動いています。
(私自身は10数年前よりそうしています)
股関節における人工股関節や人工骨頭置換術も術後の安静期間は劇的に短くなっています。
ところが足関節ねんざやスポーツ障害における安静期間は多くの施設で昔と変わりません。
依然として局所の安静を重視し、患部外トレーニング・患部同側肢トレーニング・患部トレーニングの3つを順を追ってゆっくりとおこなっているのではないでしょうか?

本日理学療法士に疑問を呈した症例があります。
中学生のサッカー選手で右股関節を中心とした疼痛のため受診しました。
診断は、股関節の大腿四頭筋付着部(大腿直筋)と股関節内転筋群の炎症です
疼痛が強いのですがなんとか6月の試合に間に合わなくてはいけません。
理学療法士から出てきた答えは、『3週間の安静加療:ランニングをさせない』というものでした。
勿論、患部外トレーニングはおこなうのですが、それでは試合に間に合いません。
遅くとも5月中旬にはランニングを始めなければ、競技復帰は困難です。
で、尋ねました。

なぜ3週間安静なの?

返ってきた答えは教科書的なもの、
『疼痛が強いので局所の安静を図り、まずは患部外トレーニングからおこなうのが標準です』

標準的な治療を、私も患者も望んでいません。
一刻も早いスポーツ復帰を望んでいるのです。
勿論、無茶をしろといっているのではありません。
痛みや局所の炎症が訓練の阻害要因であれば、それを改善する術はないのか?
本当に、安静が炎症をとる最良の道なのか?
動かすことで逆に炎症は解消しないか?
疑問は山ほどあります。

スタンードをおこなうのは簡単です。
それがもっとも安全な方法だからです(私にとっても患者にとっても)
けれども、多くの場合でスタンダードが必ずしも最善ではないことを私たちは学んできました。
スタンダードから一歩踏み出すこと、
それは少し勇気のいることです。
けれどもチャレンジではありません。
なぜなら、経験ある医師と理学療法士・運動指導士がきちんと寄り添い細かなケアをおこなうからです。

私たちのクリニックではそうしたケアを、加速的リハビリテーションと呼んでいます。
一つの疾患を従来の枠に囚われない多職種による多元的アプローチをおこなうことでそれを可能にしています。

現実にクリニックでは受傷後3週のACL断裂患者が装具着用(DONJOY)しアークトレーナーで走っています。
膝には痛みも腫れもありません。
この選手は6月の試合に復帰予定です。
完全断裂ですので、将来的にスポーツ・アスリートとしての活躍を望むのであれば手術が必要でしょう。
けれどもこうした新鮮外傷でも短期間でのスポーツ復帰が可能なのです。

ずっと、当たり前だと思われてきたこと、
ゴールドスタンダードといわれてきたこと、
そろそろ、考え直してみませんか?

一歩踏み出すことが時には大切です。



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by ccr-net | 2011-04-25 22:09 | 医療
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