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理不尽な地域医療貢献加算

地域医療貢献加算は、あまりにも開業医を馬鹿にしている

本日は、連休前でクリニックは大混雑・・・
なんとか1時半に診療を終了し、2時よりクリニックSTUDIOで診療報酬改訂の勉強会をおこないました。
約1時間半の勉強会でしたが、終わった時には疲労感が残りました。
明らかに無床診療所を狙い撃ちにした診療改訂・・・これで、公的病院に続き診療所の崩壊が始まります。
再診料が診療所で減額されたのは予想通りで腹も立ちませんが、それを糊塗するが如く出てきた『地域医療貢献加算』には唖然とします。

ここで、今回鳴り物入りで出てきたこの『地域医療貢献加算』について考えてみます。
『地域医療貢献加算』は、「時間外に患者からの電話問い合わせに応じている診療所に対し、報酬を加算する」ということになっています。
以下、独り言です。

この“時間外”というのは、どのくらいの時間帯なの?
現時点では、24時間365日となっています。
ほー、すると報酬はどのくらい?
はい、それは診療所の診察ごとに30円となっています。
つまり、1日70人来院する診療所は30円×70=2100円頂けるということですか?
はい、その通り。診療所再診料は、-20円となりましたがこの+30円で差し引き10円のプラス改訂です。良かったですね、喜んでください。
うーん・・・・馬鹿にするなあ!!

今回の『地域医療貢献加算』の原点は、“開業医は働いていない”という発想にあります。
それでは、開業医は本当に働いていないのでしょうか?
統計的には、開業医の月平均勤務時間は252時間。
これは、「時間外労働時間80時間以上」という過労死基準をすでに大きく超えています。
 (平成13年12月12日厚生労働省 発 表 過労死新認定基準)
『え?そんなに働いているの?』とびっくりなさる方もいらっしゃるでしょう。
具体的に、私の場合を考えてみます。
毎日、朝7時にクリニックの駐車場を開け、クリニックの空調・電子カルテ他の電源を入れます。8時少し前に玄関を開け、すでにお待ちの方々に待合室を開放します。診療は9時からですが、スタッフとのミーティング・書類書き・指示出しなどをそれまでにおこないます。このあと、私の場合は午後7時半までほぼノンストップの診療をおこないます。運がよければ15分程度の休憩が途中で取れます。
この時点で勤務時間は12時間半、経営者ですからこれ以外にもさまざまな仕事はありますが、敢えて除きます。
これが、月火木金の4日間続きます。
水曜日は外来は午前中(といっても平均13時半)、そのあと手術・保健福祉センターでの認定審査(介護保険・障害者)・往診などがありますので終わるのは大体午後5時半・・・従って勤務は10時間半。
土曜は午前中診療(これも平均13時半)、そのあと往診に出かけ終わるのは午後4時・・・勤務は9時間。
日曜日は朝9時から数名診療し往診・・・平均2時間半。
以上を合計します。
1週間の勤務時間=12.5×4+10+9+2.5=71.5時間
月間勤務時間=71.5×4=286時間
これに、事務的な仕事や経営的な仕事などが加わります。
どうやら、平均より多いようです・・・多分300時間くらいは働いていると思います。
ちょっと、びっくりしませんか?

どの仕事でもそうですが、仕事の時間は目に見えるものだけではありません。
銀行は午後3時に閉まりますがその後業務を行っていることは多くの人が知っていますし、ラーメン屋の店主は開店している時間以外に朝早くから夜遅くまで仕込みをやっています。
当然、医師も皆様の目に見えないところで働いているのです。
働いていない開業医などいないのです。
勿論、一部にはそんな医師もいるかもしれませんが、それは勤務医も他の職業も一緒でしょう。

『地域医療貢献加算』は、そんな私たちの仕事を冒涜するものだと現時点では考えています。
私たちは、今の時点で十分に地域に貢献し、過労死寸前のところで働いています。
ちなみに開業以来の8年間、私が正月に診療をおこなわずに済んだのは2回しかありません。
年末年始の4日間(12/31〜1/3)で考えると8年間一度も休んでいません。
こうした診療行為には特別な加算はつきません。
私たちの多くは、その使命感と想いで医療をおこなっているのです。
そこに、『30円あげるから!』という発想の『地域医療貢献加算』が出てきました。
この加算を得るために、上記の如く既に過労死基準を超える水準で働いている開業医が、24時間365日、電話対応しなければなりません。
こんな馬鹿にした制度はないと思います。

もういい加減、こんな不毛な医師叩きはやめましょう。
すでに、閉鎖した多くの公的病院での教訓はなかったのでしょうか?
医療の崩壊を防ぐには、もっと冷静で公平な議論が必要です。
今回の改訂で、この国の医療がどこへ進んでいくのか、よく判らなくなってきました。

それでも、私たちは今できる最善をおこなう義務があります。
その中には、地域への貢献は最低限のこととして含まれています。
私のクリニックは在宅療養支援診療所ですので、すでに在宅の方には24時間対応しています。
今回提案された24時間での無制限な対応をおこなえば、在宅医療への対応は困難です。

地域医療への貢献とは、果たしてなんなのでしょう?

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by ccr-net | 2010-03-20 21:02 | 医療経営 | Trackback
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