常温水は絶対か?
目的や体調によって異なる最適な水の温度
今年は梅雨だというのに30度を超える日々が雨の日以外は続いています。
史上最高だった昨年の気温を現時点で毎月上回っているので、NASAが『史上最も暑い年』と言っているのも頷けます。
そんなことが理由でもないでしょうが、外来で慌ただしい午前中にフジテレビから電話取材の申し込みがありました。
〝なんなのかなあ?〟
そう思って電話に出ると、〝常温水と冷水の利点と欠点について意見を聴きたい〟とのこと。
〝なんで私なの?〟
と思いましたが、そう言えば以前、常温水と冷水について書いていたことを思い出しました。
詳細はメールで、期限は本日午後3時くらいまで!
結構、厳しい条件ですが、テレビ局の取材はだいたいいつも慌ただしいものです。
というわけで、診療の合間に以前の原稿をもとにこんな回答を作成しました。
あらかじめお断りしますが、摂取する水の温度については様々な考えがあります。
これはあくまでも私の私見で絶対ではありません。
でも、可能な限り科学的に書いてみました。
質問事項の一部
1)「冷たい」の利点、特徴
2)「常温」の利点、特徴
回答の一部
1)冷水(5度〜10度)
・吸収がよい
冷たい水が胃壁を刺激し、ガストリンを分泌させる。それにより胃の動きが活発になり、小腸で早く吸収される。同様の理由で、便通もよくなる(下痢することもある)。
・代謝が活発になる
冷たいものを体の中に入れると、それを取り戻す(暖める)ために代謝が活発になる。
具体的には10度の水を36度の体温にあげるには26度暖めなければならない。
1ccの水を1度上げるには1cal必要なので、100mlの水を26度上げるためには2600cal必要。
500ccであれば13000calすなわち13Kcal必要になり、その分代謝が活発になる。
これは70際の女性の10分間の歩行に相当する。
*一見良さそうだが、逆に言えば冷たい水を飲んだだけ、そのぶん消耗する。
1)常温水(水道の水の温度)
・体を冷やさない
・胃腸に優しい(胃腸の動きが活発になるわけではない、刺激が少ないということ)
*一見良さそうだが、体を冷やさないということは逆に言えば代謝は活発にはならない。
また胃腸に優しいということは胃腸の動きは活発にはならないので、水の吸収は遅れる。
けっこう面白いでしょう?
念のために常温水で検索してみましたが、やっぱり意見は二つに分かれるようです。
ただ大切なことは、常温水は絶対ではないこと、利点と欠点があることを理解することです。
ものごとに絶対はないことをお忘れ無く!
by ccr-net
| 2016-06-27 22:40
| 健康