SENDA MEDICAL CLINIC BLOG

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日本の医療はどこへ行くのか?

何を優先するのか、それが大事!

先日ご報告したハワイのストラウブ総合病院に緊急入院となった方が、先週金曜日に来院されました。
大きな麻痺もありませんが、硬膜下出血ですので基幹病院の脳神経内科の信頼できる先生を受診して頂くように予約を入れさせていただきました。
とうことで、ハワイでの3日間の入院。
入院中は個室使用し、検査はCT3回、XP6枚、内服・注射などのmedicationはありません。
この入院治療費、なんと300万円です。

保険がなければとても払えない金額!

判ってはいたものの、米国の医療費の高さ(日本の医療費の低額さ!)をあらためて実感しました。
それよりも驚いたのは、持参された資料の内容のなさ!
実際の患者記録(パーソナル・レコード)は3枚、但し診断名と禁止事項のみ。
救急搬送時の記録は勿論、入院中のvital signや神経所見は皆無、
本来あるべきradioligist(放射線科医)の読影記録もありません。

膨大なイメージデータの記録されたDVDとあとは
「個室契約したからお金払ってね!」
「私たち医療スタッフは全力を尽くしたからね!」
「睡眠導入剤は駄目だから、メラトニン使ってね!」
という十数枚におよぶ記録と硬膜下出血とCT検査の定型説明文書でした。

医師への紹介状は勿論、患者に渡すパーソナルレコードとしても不十分です。
ご本人もホスピタリティーがなってないと憤慨されていましたが、そのくらい日本の医療制度は凄いのです。
大切なのは救命と治療、当たり前ですがそれが米国の医療のすべてです。
日本を超える病院のホスピタリティーは、おそらく東南アジアのメディカル・ツーリズムくらいでしょう。

ということで、「先生、日本の医療の素晴らしさを宣伝してくださいね!!」と、強く推しておきました。

日本の医療はどこへ行くのか?_b0102247_22473511.jpg


それから数日経った今日、名古屋の日本靴医学会のシンポジウムでその自信は揺らぎました。
整形靴マイスターの3人のドイツ人の方々のセッションでしたが、以前からの問題点が明らかになりました。
それは、日本の医療の閉鎖性と技術や経験に対する敬意の欠如です。
日本では(米国でも同様ですが)、外国での様々な医療資格は認められていません。
素晴らしい足病医の泉先生が、医療者としては医療機関で活躍できないのも同様です。
また、高度な技術や経験に対する対価(フィー)がありません。
従って、日本では多くの義肢装具士がドイツのマイスターにかないません。
だって、教育制度も経験も比較になりませんから・・・

本来こうしたところに今後医療保険での評価が必要だと思いますが、現在の縮小医療では難しいでしょう。

無駄なものは切る、
必要なところには投下する。
そうした選別が、今後の医療経済には必要なのです。


入院でのホテルコスト(最低でも食費!)の負担、
それって医療保険の対象でしょうか?
もういちど考えてみませんか・・・


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by ccr-net | 2015-11-22 22:47 | 医療
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