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注射の際の消毒について考えよう

イソジン消毒の落とし穴

昨日の訪問看護師との会話です。
『先生、聴いて下さい!』
『なあに?』
『A医院の先生の指示が酷いんです!』
『どんなふうに酷いの?』
『在宅で点滴するときに、必ずイソジン消毒をしろと言うんですよ』
『なるほど・・・』

注射をする際に、アルコール綿で刺入部位を消毒することは一般的によくおこなわれています。
けれども、イソジン消毒となるとあまりお目にかかりません。
今回の場合は、血管確保がサーフロー針(インサイト)ということで、イソジン消毒の指示が出たようです。
(今回は患者さんの利便性の問題で、けっして長時間留置する症例ではありません)
さて、この指示正しいのでしょうか?

ということで、今朝のラインナップでクリニックの看護師数名に尋ねてみました。
答えは全員同じ、
『当然、アルコール綿を使用します!』

ここで注射の際の消毒の意義についてかんがえてみましょう。

まず皮下注射や筋肉注射、これは厳密な消毒が必要でしょうか?
理論上はよほど汚染されていない限り必要有りません。
(アルコール綿さえ不要と言われています)

理由は体内のPH(ペーハー)にあります。
正常な皮膚の表面はph5.5の弱酸性ですが、体内はph7.4となります。
体表面で生息していた菌もこれでは増殖することができず、すぐに免疫で死滅してしまいます。
しかも異物である針もすぐに抜去するので問題となりません。
点滴の際は比較的長く留置しますがこれも長くて1時間程度、通常はアルコール綿による消毒で十分です。

ところが長時間のサーフロー留置(ヘパロックなど)となると、最大96時間になり話が違ってきます。
イソジンなどでの十分な消毒が必要な場合が出てきます。
また、アルコール消毒(ヘキザックアルコールなど)は、実は緑膿菌や芽胞は苦手としています。
従って感染リスクの高い汚染した皮膚や状態の悪い荒れた皮膚では危険です。
(まあ、そんなところに注射をすることはないでしょうが・・・)

ではイソジン消毒は万能なのでしょうか?
多くの人が誤解しているのは、イソジン消毒すればすぐに効果があると思っていることです。
イソジンの消毒効果は遊離ヨウ素の酸化作用によるものなので、塗布後効果発現までに 十分な時間が必要です。
以前行われていた、イソジン消毒後すぐにハイポアルコールで色を消すなんてことはもってのほかなのです。

一般にサーフロー針を含め注射する際に、消毒が乾くまで待つなんて悠長なことはしません。
したがって、現実問題としてアルコール綿のほうが有効なのかもしれません。

ということで、今回の指示は一見正しいけれど現実的ではないということになります。

現在、私たちのクリニックでは関節内注射などを行う際には、ヘキザックアルコールを使用しています。
イソジンが乾くのを待ちはしません。
しかも鉗子は使用せず、ディスポーザブルとしています。
これは、コスト的にも感染管理の上からも有用です。
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このスライドは以前経営セミナーで使用したものですが、けっこう好評でした。

あなたの医療機関はどうでしょう?
消毒はしていますか?
何を使用していますか?
そして、それはディスポでしょうか?

ちょっとしたことですが、そこにその医療機関の感染管理の一端をみることができます。






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by ccr-net | 2012-06-07 21:16 | 感染管理 | Trackback
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