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ビタミン剤は効果があるのか?

必要量を摂取しても予防や治療にはならないのは当たり前かも

サプリメントといえば、ベーシックサプリメントと呼ばれるマルチビタミンが代表的です。
まずベーシックサプリメントを摂り次に必要なものを・・・というのが一般的ですが、
今日のヘルスデージャパンにこれを否定するような興味深い研究が出てきました。

マルチビタミンを服用しても潰瘍性口内炎は予防できないと題されたこの記事は、米国歯科医師会ADA誌「Journal of the American Dental Association」4月号に掲載されたものです。
今回の研究は、米コネティカット大学(ストーズ)のRajesh Lalla氏らが2005~2009年に実施したもの。全症例の80%以上を占める軽度の潰瘍性口内炎を有する成人患者のみを対象とし、被験者には、前年に3回以上の潰瘍性口内炎エピソードがみられた。同氏らは83例を試験群、77例を対照群に無作為に割り付けた。両群とも男性より女性のほうがやや多かった。
試験群は、必須ビタミンの1日推奨摂取量100%から成るマルチビタミンを1日1回、1年間服用し、対照群はプラセボを服用した。被験者は、錠剤を服用するたびに、潰瘍性口内炎エピソードと疼痛レベル、食事摂取量に対する口内炎の影響の有無を記録した。
研究の結果、両群とも約4回のエピソードが生じ、それぞれ約8日間持続した。疼痛レベルおよび特定の食物の摂食能力に群間差はなく、投薬レジメンに対するコンプライアンス(服薬遵守)にも差はなかった。ビタミンB12レベルが低かった14例のうち5例が試験群、9例が対照群であった。新規潰瘍性口内炎エピソード数に群間差はなかった。葉酸レベルが低かったのは2例のみであり、少数であったため解析は実施しなかった。

『私はビタミン剤摂ってるから大丈夫!』というのはどうやら怪しいようです。
Lalla氏は「潰瘍性口内炎の傾向のある患者がマルチビタミンを服用しても、潰瘍性口内炎の期間または頻度は減少しなかったため、臨床現場でマルチビタミンを勧めるべきでない。重症の場合は、特に低レベルのビタミンB12または葉酸についてスクリーニングを行うべきである」という。別の専門家は、「患者は理解していないため非常に不安に思うことが多いが、大多数が軽度の症例であり、治療なしで7~10日で治癒する」と述べている。

もっともこの意見には賛成しかねるところもあります。
というのは極端な悪性貧血や葉酸欠乏症を除き、多くの口内炎に効果があるのはビタミンB2だからです。

ではなぜマルチビタミンは効果ないのでしょう?

それにはベーシックサプリメントの考え方について理解する必要があります。
ベーシックサプリメントとは、日常の食生活で不足している栄養素を幅広くバランス良く調合したものです。
すなわち本来食事で摂取すべきだけれども不足しがちなものを補う目的で作られたものです。
従って、『治療効果』や『疾患の予防効果』を期待するものではありません。

これはサプリメントに含まれる含有量をみてみるとよくわかります。
例えば口内炎の治療薬はFAD(ビタミンB2)ですが、通常1日30mg摂取します。
これに対して、マルチビタミンに含まれるビタミンB2はDHCのものでは1日あたり2.4mgしかありません。
従って治療効果など得られるはずがないのです。

このことを考えると、今回の研究はきわめて当然の結果を示したということになります。
ただ、切り口次第では、『サプリメント=効果ない』という誤解を生むことになりそうです。

サプリメントは食品に含まれる成分を効率よくとるもの、
治療は該当するビタミン剤の必要量投与、
それが大切な事です。

ビタミン剤は効果があるのか?_b0102247_2154870.jpg


現在、医療機関で複合ビタミン剤を貰っておられる方、

それは本当に必要でしょうか?

そして効果はあるのでしょうか?



いい機会ですから、あらためて考えてみましょうね。



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by ccr-net | 2012-04-16 21:10 | 健康
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