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骨粗鬆症とは限らない腰椎圧迫骨折

思い込みが診断を左右する

腰椎や胸椎の圧迫骨折、高齢者に比較的よくみられる疾患ですが、その原因は骨粗鬆症ばかりとは限りません
本日来院された高齢の男性もそうした中のお一人でした。

現病歴は、腰痛で近医に通院しておられましたが痛みは軽く、概ねお元気に暮らしておられたとのことです。
本年1月頃より疼痛が強くなり、やがて腰椎の圧迫骨折がでてきたためかかりつけの整形外科に相談されましたが原因は判らず。
不安になり、基幹病院を受診されましたが、『年齢的な圧迫骨折だから・・・』といわれそのまま経過観察。
その後、痛みが遷延し微熱もでてきたたため、近くの内科を受診。
血液検査の結果、PMR(リウマチ性多発筋痛症)の可能性が大とのことで、ステロイド投与。
2月になり痛みが非常に強くなり動けなくなったため、別の基幹病院の救急外来を受診。
同院でMRI検査施行し腰椎圧迫骨折の診断で、近くの病院の介護病棟に入院。
本日、自宅退院となり現在の機能評価と今後の在宅リハビリテーションを希望され、当院を受診されました。
(入院中の介護認定で要介護4となり、心配された担当のケアマネージャーのご紹介です。)

大変外来が混雑した時間帯でしたので、まずリハで機能評価をさせて頂き、その間に持ち込まれた画像診断(MRI・XP いずれも救急外来でのもの)をじっくりみさせていただきました。
すると驚いたことに、ただの圧迫骨折ではありません。

まず単純XPで第2腰椎の圧迫骨折を認めますが、第3腰椎との境界が不鮮明で椎間板の確認ができません。
いわゆるfoamyな画像で輪郭が不鮮明なのです。
MRIでは勿論圧迫骨折はありますが、明らかに椎体全体の輝度変化があり、炎症像を呈しています。
ここでも椎間板との境界は不鮮明で、下位腰椎にまで淡い輝度変化が及んでいます。
そして決定的なことは明らかに硬膜外腔に突出した陰影があり、膿瘍形成をしています。
一見、硬膜外血腫ともみえる陰影ですが、よくみると明らかな膿瘍です。
つまり、化膿性脊椎炎に合併した硬膜外膿瘍です。

ただの腰椎圧迫骨折とは明らかに違います。

持参された内科での血液検査を拝見しました。
白血球・CRP共に異常高値で、一見PMRでも符合します。
けれども血液分画をみると、明らかな核の左方移動がありリンパ球も6%しかありません。
単なる炎症ではなく、細菌感染症です。

今回のケース、何がいけなかったのでしょうか?
それは、高齢者の圧迫骨折=骨粗鬆症という思い込みがあったように思えます。
またきちんと画像診断ができなかった(見なかった?)ことも大きな原因です。
(単純XPでも明らかに病的です)

化膿性脊椎炎の治療は、抗生剤の投与と安静です。
今回の場合、幸運だったのは、入院後熱発され抗生剤の投与と安静が自然におこなわれたことです。
そのために症状は治まり、本日の当院での緊急採血でも結果はほぼ正常でした。
またリハビリテーション室でおこなった機能評価も床上動作はほぼOK、立位バランス・歩行バランスが悪いため、直ぐには歩行は困難ですがベッドサイドでの活動はなんとかできそうです。

今後の治療ですが、CRPが陰性化した後も一定期間の抗生剤の投与を必要とします。
また、まず生活ラインの確保が必要ですので、週3回程度の訪問リハビリテーションが必須です。

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終わりよければすべてよし。
診断は間違っていましたが、結果的に適切な治療がある程度おこなわれ、まずまずの経過と言えるでしょう。

今回の情報は、救急対応をした基幹病院へはフィードバックをおこないました。
これは救急のような非常にスピーディーで忙しい現場では陥りやすいピットフォールです。

でもね、画像はちゃんとみようね!


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by ccr-net | 2012-03-30 21:50 | 医療 | Trackback
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