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コンパートメント症候群に注意

本当は怖い打撲の処置

今日は夕方から多くの方が来院され、クリニックは大混雑。
そんな中、常連の高齢の男性が来院されました。
みると左手はギプス固定+三角巾で固定されています。
『転びましたか?』
『ええ、空港のエスカレーターで転倒しこの有様です』
伊丹空港で怪我され、そのまま飛行機で熊本へ、夜間基幹病院で処置されたとのこと。
『それが骨折したこの腕は大丈夫なのですが、左足が痛くて!昨晩は、とても痛みました』
ズボンを上げると、膝から下はぱんぱんに腫れ大きな水疱が二つできています。
前面は一面皮下出血があり一部は小さな水疱形成しています。
救いは下腿後面は比較的余裕があることでしょうか・・・
いわゆるコンパートメント症候群の一つ前の状態です。

クラッシュ・シンドローム(筋挫滅症候群)は、阪神淡路大震災まで存在が比較的知られていませんでした。
これはがれきなどで体の一部が長時間圧迫を受けることにより筋肉が損傷し一部が壊死し、その後圧迫が解除されることにより壊死組織から大量のカリウム・ミオグロビンなどが血液中に漏出しておこります。
場合によっては急性腎不全や心不全で死に至る恐ろしい状態です。
コンパートメント症候群は、同様に下腿を強く打撲することにより内部で出血や腫脹がおこり
内部の圧力が上がることで組織が壊死をおこすものです。
救急では比較的多く経験することで、私自身減張切開をおこなったことが10例ほどあります。
今回の症例は、前方と側方のコンパートメントの内圧が上がり表皮が壊死を起こしかけている状態です。
こうした場合、血圧計を用いたneedle manometer法で、注射針をコンパートメントに刺し内圧を測り30mmHg以上だと危険だと判断し減張切開をおこないます。
今回の症例は水疱形成を起こしていましたが、把握での圧力は高くなく内圧測定はおこないませんでした。
緊急検査の結果、CK・Kなどの酵素上昇もあまりなく、安静挙上とアイシングで様子を見ることにしました。
(一応基幹病院に連絡しましたが、協議の結果待機としました)
明朝チェックし、皮膚状態次第で入院加療を検討しています。
午後8時半頃に最終検査結果を自宅に待機されているご本人連絡すると、ほっとしたご様子でした。

今回の件で大切なのは、打撲によるコンパートメント症候群の可能性を考慮していないことです。
『たかが打撲』そういう慢心はなかったでしょうか・・・
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私たちの仕事は、
こうした100に一つのリスクを回避するために万難を排することにあります。

阪神淡路大震災の教訓、私たちは忘れてはいけません。

打ったら冷やす、いつも基本です。




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by ccr-net | 2011-10-04 22:37 | 医療 | Trackback
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