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MRIは万能ではない

画像だけで手術をおこなうのは、少なくともヘルニアではナンセンス

本日、あるスポーツアスリートの方から手術について相談をうけました。
この方は、2年前に腰椎椎間板ヘルニアによる下垂足(2-)でMEDによる手術をおこない、現在粗大筋力は完全に回復しています。
最近の問題点は、過大な負荷をかけ続けると力が抜けたり(アスリートのいう“抜ける”というのは脱力感です)、時々筋肉の小さな痙攣(fasciculation)がおこることです。
近医でMRIを撮り、ヘルニアを見てほしいとのことで来院されました。

MRI上はL5/S1ほぼ正中に小さな輝度変化を伴った椎間板の突出があります。
axialではかすかに左の神経根を圧迫しているようにもみえます。
でも、これは経験からいうと術後瘢痕+硬膜外静脈叢でヘルニア塊ではありません。
MRI特有のアーチファクト(画像の乱れ)もあります。

椎間板ヘルニア再発を心配されての来院ですが、これは上記の理由でヘルニアではありません。
百歩譲ってヘルニアだとしても、悪さをしていません。
理由は、それに伴う神経所見がないからです。

最近よくあるのが、こうしたMRIの過剰信仰(もう信仰と言ってもいいくらい・・・)によるご相談です。
まず、MRIは質的診断は得意としますが形態診断はあまりあてになりません。
特に脊椎sagittalでの椎間板の単なる膨隆は、精度の低いMRIではヘルニアのように描出されます。
また、画像上の変化は脊椎の場合、腫瘍以外は年齢的変化もありある程度当たり前です。
大切なのは、エピソードと身体所見・神経所見です。

MRIは万能ではない_b0102247_15264259.gif
画像所見は、あくまでも身体所見・神経所見の補助的な役割を担うもの・・・

とても大切なことですが、陥りやすいピットフォールでもあります。


MRIは、最上の環境(良い機種・技師・放射線科医)でおこないましょう。


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by ccr-net | 2010-05-26 15:04 | 医療
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