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MRI・CTの過剰設置 続編

こんなMRIはいらない

本日福岡から以前執刀した方のご紹介で患者様が来られました。
跛行距離50m以下の典型的な腰部脊柱管狭窄症です。
近くの整形外科専門病院に1ヶ月間入院されましたが、症状が全く改善せず来院されました。
入院中に3回硬膜外ブロックを受けておられますが、左下肢の根性疼痛が全く改善せず現在も立位にて強い疼痛としびれがあります。神経脱落症状(麻痺症状)はありません。

持参されたMRIをみましたが、不鮮明でよく見えません。
おそらくL3/4のcombined type stenosis(ヘルニア合併型狭窄症)でヘルニアが右前方にありそうです。
(“ありそうです・・・”と書かなくてはならないくらい不鮮明で見えません)

こんなMRIはいりません。
エピソードと診察で見当をつけたものを超えないからです。
私たちがMRIをオーダーするのは診断の確認と最終的な手術術式を決定するためです。
不十分な情報はないものと同じです。
ご丁寧に以前『なんで?!』と否定した脊髄造影検査とMCT(ミエロCT)までありました。
これも不鮮明です。
おそらく、MRIが不鮮明で不十分なためMCTの追加検査をおこなったのでしょう。
MRIの精度が悪いためにおこなわれた無駄な検査です。
(15年前には、まだMRIの精度が低くやっていました)

結局、手術適応と判断し3月の第1週に手術枠をとりました。
勿論、その前に最終的な手術術式を決定するためにMRIの再検査を予定しました。
患者様は本日喜んでお帰りになりましたが、複雑な気持ちです。
このために費やされた無駄な時間と無駄な検査があるからです。

中途半端なMRIは不要です。
誤解がないように申しておきますが、低磁場強度(0.3T等)のMRIをすべて否定しているわけではありません。
低磁場強度のものはアーチファクト(雑音)が少ないなど高磁場強度のものにないメリットもあります。
但し、そのベストエフォートを常に発揮できるような環境が施設的にも人員的にも必要なのです。

MRIは撮ればいいものではありません。
もう一度その必要性について考えてみる必要があります。

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by ccr-net | 2010-02-17 00:12 | 医療
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